BCPの「第3形態」、用意できているか

~地震編・パンデミック編に続く“AI障害編”~

BCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)には、これまで二通りあった。

第1は地震編 – いかに人を早く集めて復旧本部を結成するかである。
第2はパンデミック編 – その真逆。いかに人を集めず、リモートで継続するかである。

筆者はコロナ禍が起きるずっと前の20年ほど前から「地震編だけでは不十分、パンデミック編が必要だ」と主張してきた。

そして今、筆者が提唱したいのが第3のBCPである。

AIが止まった時、業務をどう継続するか。

これは机上の話ではない。

Anthropicは2025年9月にAPI・Console・Claudeの全面障害を起こし、2025年10月以降だけで報告された障害は190件以上、累計の停止イベントは450回を超えるという集計もある。2026年4月にはOpus 4.7/4.6でも大規模障害が発生した。

GxP環境において「AIが落ちたから業務も止まりました」は通用しない。

査察官の前で「外部AIサービスの障害により逸脱が発生しました」と説明することの破壊力を、想像していただきたい。

しかも、このBCPは地震編・パンデミック編より圧倒的に難しい。

AIに頼り切った組織は、すでに「人が手作業で完結する力」を失いつつあるからだ。

対策は二つ。

第一に、複数AIプロバイダーへの分散(マルチプロバイダー戦略)。
第二に、避難訓練的に、AIなしで一から起票し完結させる練習を組み込むこと。

これが第3のBCPの肝である。

マルチプロバイダー化は、

技術的には抽象化レイヤーを噛ませて切り替え可能な設計にすること
契約的には主系・副系で別プロバイダーを契約しSLAを比較しておくこと
運用的には四半期ごとに副系での疎通確認を行うこと

読者へのアクション

年1回、AI不使用の状態で逸脱起票から是正処置完了までを通しで実施する「AIブラックアウト訓練」を、BCP訓練のメニューに追加していただきたい。

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