品質の悪い会社に、監査に行ってはいけない

だが、それは見つける方も持って帰る方も「自分のところはまだマシだ」という安堵感だけで、改善の種は何ひとつ持ち帰れない。

むしろ、悪い例を見続けると感覚が麻痺し、自社の中の同様の問題を見過ごすようになる。

ISO 13485 7.4 は購買管理を要求する。

供給者起因の故障・苦情は全体の約三分の一を占めるとされる。

輸入製販にとって、最大の供給者は本国である。

法律上、本国は供給業者であり、自社が委託元としてそのプロセスを監視・監督する立場にある。

だからこそ、本国に対しても「優れたところを学びに行く」という姿勢が成立する。

一方的に教えに行くのでも、対決しに行くのでもない。

百戦錬磨の監査員ほどこの言葉を実感する。

月に二本も三本も監査に出ていると、勘所が研ぎ澄まされてくる。

それは指摘を浴びせ続けたからではない。

優れたやり方に触れ続け、自社のリスクを発見し続けたからである。

逆に、品質の悪い供給者ばかり訪れ続けた監査員は、徐々に基準が下がる。「これくらい当たり前」と思っていた自社のレベルが、実は業界の中でも低かったと気づくのは、優良企業に行った時にしかない。

残念ながらPMDA等の査察官でもそういった”低い基準”を持ってしまっている場合を見聞きする。

供給者監査の予定を立てる時は、まずこう問うてほしい。

「この訪問先から、自社が学ぶものは何か」と。

学ぶものが無いなら、行く意味はないかも知れない。

供給者改善は監査の副産物に過ぎず、本懐は自社の力量向上にある — この発想の転換が、購買管理の質を一段引き上げる。

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