
なぜ危険源の分離が必要なのか
ソフトウェア設計における危険源の分離─〈安全性〉を最優先にする理由
エンジニアとして働く場合、常に最優先事項に位置するのが「安全性」の確保である。そしてそのために大切なことが、アーキテクチャ設計時に「危険源の分離」である。しかし、なぜその危険源の分離が必要なのであろうか?また、どのように危険源を分離すべきなのであろうか?今回は、これらの問いについて詳しく解説する。
なぜ危険源の分離が必要なのか
私たちの身の回りには様々なソフトウェアが存在し、その一部には直接的に命に関わるようなシステムもあることであろう。たとえば、自動運転車や医療機器、原子力発電所の制御システムなどである。これらのシステムにおいては、一部の機能が故障したとしても、それが他の重要な機能に影響を及ぼすことなく全体の安全性を保つことが求められる。そのためには、それぞれの危険源(リスクの高い部分)をうまく分離し、独立性を持たせて高度な安全性を確保することが必要である。
安全性クラスによる危険源の分離
安全性クラスとは、リスクの大小を示す指標の一つで、「クラスA」「クラスB」「クラスC」の3つに分けることが一般的である。ここで、「クラスA」は最もリスクの低いモジュール、「クラスC」は最もリスクの高いモジュールを指す。
危険源の分離を実施する際は、類似機能でまとめるのではなく、安全性クラスによってモジュールを分離する。まずは最低リスクの「クラスA」のモジュールを分離し、次に「クラスB」を分離する。これにより、「クラスC」のリスクの高いモジュールだけを残し、それらを集中管理することができるのである。
例えば、自動運転車の設計時において、「クラスA」には「ラジオ機能」、「クラスB」には「衝突防止機能」、「クラスC」には「自動運転制御機能」を分類するとする。何らかの理由でラジオ機能が故障した場合でも、その影響はラジオ機能のみに留まり、他のモジュールは独立して動作を続けることができる。各機能が結果的に互いに依存しないように設計されていれば、一部の機能故障が全体の安全性を脅かすことはない。
実務への応用と2025年の組織改編への影響
2025年には、従来の縦割り型の組織から機能別に組織が再編されることが予想される。その組織改編により、各機能が一層独立性を持つようになるであろう。危険源の分離はそうした組織形態にも通じるところ存在する。
具体的には、安全性クラスによる分離が重要となる。「クラスC」のリスクの高い部分を特定した上で、それを適切に管理する組織体制を構築することが求められる。言い換えれば、危険源の分離は単にソフトウェア設計の技術としてだけでなく、組織設計やマネジメントにおいても応用できる考え方といえるのである。
それぞれのモジュールや組織が互いに依存しすぎず、一方で全体としての機能を発揮できるようにする。これが危険源の分離という考え方がもたらす、真の意味での「安全性」なのかもしれない。ですので、危険源の分離は単なるソフトウェア設計の一環ではなく、組織全体の安全性を保つための重要な視点であり、これからのエンジニアにとっては必須のスキルと言えるのではないであろうか。
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