
予防処置はリスク管理であることについて
2026年最新動向アップデート(予防処置はリスク管理であることについて)
本記事は予防処置はリスク管理であることについてを扱ったものです。関連する規制・ガイダンスは2022〜2026年に大きく動きました。
2026年時点の主要前提
- FDA QMSR施行(2026年2月2日):21 CFR Part 820がISO 13485:2016を引用組み込み、QSITは廃止、新コンプライアンスプログラム7382.850へ。
- FDA CSA最終ガイダンス(2025年9月/2026年2月3日改訂版):リスクベース・継続的アシュアランスへ。
- ISPE GAMP 5 Second Edition(2022年7月):CSA・AI/ML・クラウド・OSS・ALCOA+を大幅追加。
- EU MDR・IVDR移行延長(Reg. (EU) 2023/607、2024/1860)とEUDAMED段階必須化。
- ISO 14971:2019+A11:2021+ISO/TR 24971:2020がリスクマネジメントの現行標準。
- FDA Section 524B(PATCH Act):医療機器サイバーセキュリティ要件。
- AI/ML:FDA最終ガイダンス「PCCP for AI-Enabled Device Software Functions」(2024年12月)。
※以下は本記事のオリジナル解説です。
製薬企業および医療機器企業において、CAPA(是正処置・予防処置)を導入することは至上命題である。
医療機器業界においては、ISO-13485およびQMS省令などでCAPAが要求されており、程度の差こそあれども、どの企業もインプリメントは終えているはずだ。
しかしである。製薬企業ではまだCAPAを導入していない企業が多くある。というよりもCAPA自体を知らない企業も存在する。
その理由は、GMP省令などの本邦の規制要件でCAPAが要求されていないためである。米国では、cGMPには直接記載がないものの、2006年に発行された「cGMPの品質システムからのアプローチ」と呼ばれるガイダンスにおいて、CAPAを要求している。
また欧州においても、PIC/S GMPでCAPAが明確に要求されている。
本邦において、唯一記載があるのは、2010年に課長通知として発出されたICH-Q10「医薬品品質システム」のみである。(下図参照)

筆者がコンサルテーションを実施する中で、是正処置は分かるが予防処置がよく分からないという声を耳にすることが多い。
ISO-9001:2008においては、予防処置とは「起こり得る不適合またはその他の望ましくない起こり得る状況の原因を除去するための処置」と定義されていた。
ここで、「起こり得る不適合」とはまだ起きていない問題のことであり、つまり「リスク」のことである。
つまり「予防処置」とは「リスク管理」のことなのである。
そこでISO-9001:2015においては、予防処置という箇条がなくなった。その代わりに各箇条に「リスク管理」としてばらまかれている。
つまり、予防処置は特定の組織や手順書で対応するものではなく、各組織が各手順書においてリスク管理として実施しなければならないということである。
製薬業界や医療機器業界のように、大きなリスクを持つ製品を製造する企業においては、今後、リスク管理の重要性はますます高まってくるものと思われる。