プロセスバリデーションとは
プロセスバリデーションとは
医療機器製造において、多くの検査は、非破壊検査である。そのため、全品検査が可能である。
万が一、不適合品を検出すれば、ラインアウトし、出荷しなければ良いのである。
しかしながら、工程によっては、破壊検査を伴う場合がある。
例えば、はんだ付け、かしめ、滅菌、接着、圧着、溶接などである。
しかし、破壊してしまうと製品にならないため、必然的にサンプリング検査になる。つまり、全品検査は難しい。
このように、全品検査が実施できない工程を「特殊工程」と呼ぶ。
つまり、特殊工程においては、ベリフィケーション(製造後に検査して品質を保証する)では不十分であり、バリデーション(あらかじめ高度に品質を保証する)が必要となる。
ISO 13485には、以下の様なプロセスバリデーションに関する要求事項がある。
7.5.6 製造およびサービス提供に関するプロセスバリデーション
製造およびサービス提供の過程で結果として生じるアウトプットが、それ以降の監視または測定で検証することが不可能または検証を実施せず、その結果、製品が使用され、またはサービスが提供された後でしか不具合が顕在化しない場合には、組織は、その製造およびサービス提供の該当するプロセスバリデーションを行う。
バリデーションによって、これらのプロセスが計画どおりの結果を一貫して出せることを実証する。
ここで「それ以降の監視または測定で検証することが不可能」とあるが、これが特殊工程である。また「または検証を実施せず」は、例えば検査コストなどの理由から、検査が困難な工程である。つまり、全品検査(ベリフィケーション)を実施するよりは、バリデーションを実施した方がコストが安い場合である。
また「バリデーションによって、これらのプロセスが計画どおりの結果を一貫して出せることを実証する」とある。
医療機器の製造においては、要求された通りの仕様や品質にあった製品が、継続的に(一貫して)製造できなければならないのである。
つまり、1ロット目も、10ロット目も、100ロット目も、1000ロット目も、1万ロット目も、同じ品質で、同じ仕様で製造できなければならない。
言い方を変えると、1年後も、3年後も、5年後も、10年後も、同じ仕様で、同じ品質で製造できなければならないということである。
バリデーションは、未来形であり、これから継続的に生産するにあたって、すべてが仕様通りになるように、高度に品質保証することをいう。また、高度に品質保証されたことを、文書化された証拠をもって説明できなければならないのである。
プロセスバリデーション実施要否
ISO 13485のプラクティカルガイドにおいて、「バリデーションが必要なプロセス」、「検証で十分力バーすることができるプロセス」、「検証可能だが、バリデーション要否を判断すべきプロセス」の例が掲載されている。
以下のプロセスは特殊工程のため、プロセスバリデーションの実施は必須である。
- 滅菌プロセス
- クリーンルームの環境条件
- 無菌充填プロセス
- 滅菌包装封止プロセス
- 凍結乾燥プロセス
- 熱処理プロセス
- めっきプロセス
- プラスチック射出成形プロセス
また、以下はバリデーションは不要であり、ベリフィケーションで構わない。
- 手動切断プロセス
- 溶液の色、濁度、トータルpHの試験
- プリント基板の外観検査
- ワイヤリングハーネスの製造と試験
さらに、下記のプロセスは、医療機器企業が製品に応じて、プロセスバリデーションの実施要否を決定しなければならない。
- 確実なクリーニングプロセス
- 人手による確かな組立プロセス
- CNC(PLC)による切断プロセス
- 信頼性のある充填プロセス
つまり、洗浄バリデーションは、必ずしも必須ではなく、個別に実施を判断しなければならない。