QM、QA、QCの階層構造

現代社会における製品やサービスのクオリティは、企業の存続と発展に直結する要素である。その品質を確保し、高めていくための枠組みとして、Quality Management(QM:品質マネジメント)、Quality Assurance(QA:品質保証)、Quality Control(QC:品質管理)の三つの概念が広く認知されている。本コラムでは、それぞれの用語の歴史的発展をたどりつつ、現代品質管理における階層構造を紐解き、初心者にもわかりやすく解説する。

1. 品質管理の歴史的背景  

かつて、製造現場の品質は職人の技能や経験に依存していた。しかし、産業革命以降の大量生産時代、品質問題は大きな社会的関心となり、体系的な管理手法の必要性が高まった。20世紀初頭、統計的品質管理(Statistical Quality Control、SQC)をはじめとする科学的アプローチが登場し、品質は「作業現場のみならず全社的取り組み」として位置づけられるようになった。これが現代のQM、QA、QCの発展の契機である。

2. QM(品質マネジメント)の全体像  

QMは、組織全体の品質に関する方針や戦略策定、目標設定、リソース配分などを担う全社的な管理活動である。「品質」の定義を明確にし、それを実現するための体制や仕組みを構築・運用することが求められる。具体的には、ISO 9001などの国際標準規格に準拠した品質マネジメントシステム(QMS)の構築がその中心となる。QMはトップマネジメントのコミットメントが不可欠であり、品質の文化を組織内に定着させる役割を担っている。

3. QA(品質保証)の役割  

QAは、「品質要求を確実に満たすことを約束し、証明する」活動である。QMの方針のもと、社内外のステークホルダーに対して、製品やサービスが一定の品質基準を満たしていることを保証する仕組みを構築する。QAには設計段階からの各種手順書作成、工程監査、トレーサビリティの確保といった具体的な活動が含まれ、製品・サービスの再現性や信頼性を担保する。しばしばQA部門は、現場のQC活動を支援しつつ、全体の品質保証システムの構築と運用に力を入れる。

4. QC(品質管理)の実務  

QCとは、現場レベルで実際に行う品質の測定、分析、改善活動のことである。具体的には、検査・試験による品質確認、不良品の原因分析、工程の標準化、改善活動(PDCAサイクルの実践)などである。QCは一般的に現場担当者や担当部門が主導し、直接的かつリアルタイムに製品やサービスの品質を管理する点が特徴である。また、日本においてはQCサークル活動が盛んであり、現場の自発的な品質改善活動として世界的にも知られている。

5. QM、QA、QCの階層構造  

これら三つの概念は独立して存在するのではなく、組織内で明確な役割分担と階層構造をなしている。まずQMが組織全体の品質方針や戦略、体制を構築し、QAがその方針の下に保証活動を実施、そしてQCが現場で日々の品質管理活動を行うという関係にある。この階層構造を適切に運用することで、組織は全体最適を実現し、長期的な競争優位性を生み出すことができる。  

 階層                 役割                                    
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 QM(経営)          品質方針・仕組みの企画・統括           
 QA(管理・保証) 保証体制の構築・維持、証拠・記録管理     
 QC(現場)          現場レベルでの測定・改善・管理           

6. まとめ  

QM、QA、QCの三つは、歴史的発展の中で自律的に進化し、現代の品質管理では重層的な階層構造を構成している。それぞれ明確な役割分担があり、組織全体として連携しながら品質の向上に貢献している。初心者の方もこの階層構造を理解することで、品質管理の全体像を把握しやすくなるであろう。今後もグローバル競争が激化する中で、これら品質管理の基本概念を正確に理解し、実践していくことが一層重要となる。

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