
Part11の改定の見通しについて(2008年5月執筆)
2026年最新動向アップデート(21 CFR Part 11)
本ページは2008年5月、コペンハーゲンで開催されたISPE主催GAMP 5発表セミナーにおけるSion Wyn氏の講演を記録した歴史的な記録です。当時話題となった「Part 11の抜本改定」は実現せず、その後20年近くを経た現在も21 CFR Part 11は2003年の「Part 11; Electronic Records; Electronic Signatures – Scope and Application」最終ガイダンス(縮小解釈)の枠組みのまま運用されています。最新の動向は次のとおりです。
Part 11は実質的に「Data Integrity + CSA + QMSR」へ吸収
- FDAは2018年に医薬品向け「Data Integrity and Compliance With Drug CGMP」最終ガイダンスを発行。ALCOA+原則が事実上のグローバルスタンダードに。
- 2025年9月にFDAは「Computer Software Assurance for Production and Quality System Software」最終ガイダンスを発行、2026年2月3日に改訂版(QMSR整合)を発行。文書中心のCSVから、リスクベース・継続的アシュアランス(CSA)への明確な舵切り。
- 2026年2月2日にQMSR(21 CFR Part 820改訂)が施行され、ISO 13485:2016が引用組み込みされた。Part 11はQMSRと組み合わせて運用される位置づけが明確化。
- EU GMP Annex 11(電子記録・電子署名)も改訂作業中。
実務上の含意
Part 11単独で要件を捉えるのではなく、「Data Integrity(ALCOA+)」「CSA(リスクベース検証)」「QMSR(ISO 13485:2016 + FDA追加要件)」の三位一体で運用設計することが、2026年以降のFDA査察で求められる標準的アプローチです。
※以下は2008年5月時点のオリジナル講演記録です。歴史的経緯の参考としてご覧ください。
ウェブセミナー FDA関連
FDAについて研究するページです。
*万が一文中に解釈の間違い等がありましても、当社では責任をとりかねます。
本文書の改訂は予告なく行われることがあります。
Part11の改定の見通しについて
2008年4月7、8日にデンマークのコペンハーゲンで開催されたISPE主催のGAMP5発表セミナーでSion Wyn氏がPart11の改定の見通しについて講演した。
Sion Wyn氏は、Conformity社のDirectorであり、GAMP5のEditorである。
現在FDAにPart11の改定のメンバーとしてアサインされており、Scope & Applicationの作成メンバーの一人でもある。
講演要旨は以下の通りである。
われわれは現在でも発行したオリジナルの計画とパブリックコメントによって改定されたルールに沿って進めつつあるが、とりわけタスクチームの心配事と言えば、コメントをフォローすること、改定したガイダンスに従って改定したPart11規則を発表すること、さらにより改定したガイダンスを発行すること、そして明らかに新しいプリアンブル(前文)を完成させることである。
したがってまだ計画段階であるが、それがタスクチームとして達成すべきことである。
それがいつになるかという質問は答えにくい。
タスクチームにしてみれば、改定した規則の内容に満足しているが、いまだに当局における内部レビュプロセス中である。
FDAによって精査されるまではパブリックコメント募集のための発表ができないことになっている。
それはたいへん進行が遅く見えるが、それは特に最高評議会事務局での法的審査をうけなければならないからである。
それがまさに長い時間を要する理由である。
お伝えできることは、いまだ規則を改定し発表することに注力しているが、正直いつとはいえないということである。
もちろん今年中であると願っている。
それまでの間に何をするか、という問題には妥当かつ正当な答えがあると考えられる。
「Part 11 Scope and Application」のファイナルガイダンスは、2003年に出されたものの、昨今の電子記録と署名においての当局の位置づけを色濃く反映しており、いまだに極めて今日的な意味を帯びている。
したがってそのガイダンスを読めば、現行の規制では、ヨーロッパ勢が大変強い立場にあると推測される。
そしてまたGAMPのような業界ガイダンスによる電子的記録と署名に関する実践規範(good practice)を見ると、今日FDAが基本と考える患者の安全に関する完全性(Integrity)の適切なリスク管理を顕著に反映している。
常に「製品とプロセスの理解」に立ち戻ることが必要である。
一旦「製品とプロセスの理解」を得られれば、プロセス中の当該記録の役割とデータの完全性のインパクトが理解でき、それらの記録に対するリスクを抽出し、適切な管理を選択することが出来る。
それゆえ私は、どんな管理を常時適用するかまたは特定の環境においてのみ適用するかをはっきりと述べた規制要件(regulations)よりも、経営者たちそして明らかにサプライヤーが業界のことを考え、特にリスク認識において、理解に基づく適切な管理を選択するような規制を待ち望んでいる。
もう一つ混乱をきたす可能性のあることについて言っておくと、皆さんの中には最近連邦広報(federal register)でFDA のPart11に関してのコメント募集を見たかもしれない。これは再検討プロセスの一部ではなく、私は定期レビュと考えたい。
規制要件の経済的影響に関して、確実に規制の精査を要する要件がいくつかある。
ある期間が過ぎた後に、規制要件の経済的影響を再考するということである。それは単に定期レビュだと考えられる。
この事実はすなわちPart11が経済的影響を保証する時が来たということである。
それで連邦広報でコメントを募集した。
新しい規制要件や変更があるということではなく、興奮する必要はない。
個人的には、改正された規制要件の発表の前に実施されるというのは、多少紛らわしいと考える。
たとえ連邦広報でそれを見たとしても、興奮しないこと。
それは新規制要件へのコメント要請とかそのたぐいのものではないのである。
