
DQ・IQ・OQ・PQとは何か – 適格性評価の本質
概要
DQ・IQ・OQ・PQは、医薬品・バイオテクノロジー業界における構造設備のバリデーションで使用される基本的な適格性評価手法である。これらの用語は、DQ(設計時適格性評価)、IQ(据付時適格性評価)、OQ(運転時適格性評価)、PQ(稼働性能適格性評価)を指し、元々はプロセスバリデーションの概念として発展したが、現在ではCSV(Computer System Validation)分野にも広く応用されている。
この段階的アプローチは、ハードウェアやシステムがユーザー要求に対して「適格」であることを体系的に確認する手法であり、厚生労働省のバリデーション基準(平成25年8月発出)やPIC/S GMPガイドラインにおいて実施が要求されている規制要件である。
各段階の詳細
DQ(Design Qualification – 設計時適格性評価)
定義:設備、装置又はシステムが目的とする用途に適切であることを確認し文書化することである。
DQでは、システムや設備の設計仕様がユーザー要求仕様書(URS:User Requirements Specification)や規制要件を満たしているかを文書レビューによって確認する。実際の機器が導入される前の設計段階で適格性を評価することにより、後工程でのリスクを最小化するのである。
重要性: DQの詰めが甘いと、IQ・OQ・PQの負担が大きくなり、設備のリスクが増大するため、この段階での十分な検証が極めて重要である。
IQ(Installation Qualification – 据付時適格性評価)
定義: 据付け又は改良した装置又はシステムが承認を受けた設計及び製造業者の要求と整合することを確認し文書化することである。
IQでは、設備が設計仕様通りに正しく設置・接続されているかを実際に検査する。配管、電気配線、計器の設置状況などを詳細に確認し、承認された図面や仕様書との整合性を検証するのである。
OQ(Operational Qualification – 運転時適格性評価)
定義:据付け又は改良した装置又はシステムが予期した運転範囲で意図したように作動することを確認し文書化することである。
OQは、設備が設計された運転範囲内で意図通りに機能するかをテストする段階である。各種パラメータの設定値での動作確認、制御機能の検証、アラーム機能の作動確認などを体系的に実施する。
PQ(Performance Qualification – 稼働性能適格性評価)
定義: 設備及びそれに付随する補助装置及びシステムが、承認された製造方法及び規格に基づき効果的かつ再現性よく機能できることを確認し文書化することである。
PQでは、実際の製造条件下で設備が継続的に仕様を満たす製品を生産できるかを実証する。実生産環境での性能データを収集し、品質基準への適合性と再現性を確認することで、商業生産への移行を可能にするのである。
CSV分野での応用
CSV(Computer System Validation)は「規制対象のコンピュータ化システムが、設計通りに一貫性があり再現可能な方法で、紙ベースの記録と同様に安全で確実かつ信頼性の高い動作をすることを確認するプロセス」として定義されている。
ソフトウェアとハードウェアの統合システムに対して、DQ・IQ・OQ・PQの手法が効果的に活用されており、システムの信頼性と規制適合性を段階的に実証することが可能である。
段階的アプローチの効果
この体系的な4段階アプローチにより、以下の効果が実現される。
リスクの最小化:早期段階での問題発見により、後工程での大幅な修正を回避できる。
規制要件への適合:国内外の規制ガイドラインに準拠した体系的な実証が可能である。
品質保証: 患者安全と製品品質を確保するための科学的根拠を構築できる。
効率的な事業運営: 計画的な検証により、プロジェクトの予測可能性が向上する。
まとめ
DQ・IQ・OQ・PQは、単なる手続き上の要件ではなく、製品品質と患者安全を確保するための科学的かつ実践的なアプローチである。医薬品製造の現場では、これらの概念を正しく理解し適用することが、規制遵守と効率的な事業運営の両立につながる重要な手法となっているのである。

