ヒューマンエラーはなぜ起きるのか
ヒューマンエラーはなぜ起きるのか
ヒューマンエラーは一定の確率で必ず発生する。では、ヒューマンエラーはなぜ起きるのだろうか?
以下の様な原因が考えられる。
- 注意の範囲には限りがある。
- 自分の関係ないものに注意をしない。
- 注意には方向性がある。
- 注意は変動する。
- 注意にはリズムがある。
これらにより、意図しない結果(ミス)となってしまう。
さらに、人間の感覚として、
- 視覚は、全ての事を正確には、判断できないことがある。
- 聴覚は、方向や距離を正確には、判断できないことがある。
- 触覚は、そのときの状況によって、正確には判断できないことがある。
- 同一時間であっても、そのときの状況によって、長く感じたり短く感じることがある。
といった問題も影響するのである。
そこで、
- 不注意
- 錯誤(錯覚)
- 近道・省略
などは、誰にでも生じるのである。
慣れた時ほど忘れずに!
ミスや事故は決して、初心者だけが起こすわけではない。むしろ熟練者のミスの方が、より重大な結果に結びつき易いのである。
★初心者のミスの要因
- 知覚情報過剰になり混乱する。
- 決心がつかず迷う。自信がない。
- 手遅れ・最悪の状態になってから気付く。
- あいまいなままの判断で行動する。
- 結果の危険を予測できない。
★熟練者のミスの要因
- 長年繰り返していることにより、型にはまり過ぎている。
- 慣れすぎているので、無意識の行動が多い。
- 誤りが少ないので、誤っても気付かない。
- 速くできるので、操作の抜けや、とびが発生する。
指差呼称
人為的な誤りを最小限にするために以下の方策をとると有効である。これらは、ソフト面における例である。
- 手順書や指図書に基づいて作業をする
- 指図に従って作業をする
- 行った作業は直後に記録する
- 重要な作業はダブルチェックする
- 行った作業記録を照査し、承認する
しかしながら、すべてのプロセスにおいてダブルチェックを行えない場合もある。
例えば、電車の車掌を常に2人乗務させることは現実的ではないだろう。そのような場合には、指差呼称が有効である。
指差呼称とは、危険予知活動の一環として、作業対象、標識、信号、計器類に指差しを行い、その名称と状態を声に出して確認することである。
「目で確認」「指を指し」「声を出す」の3重チェックを行うのである。 図は、画面表示に応じたボタンを押す作業を一人当たり100回×4種類行ったときのエラー発生率である。指差呼称がヒューマンエラーを減少させていることが分かる。
しかしである。図で分かるように、チェックを3回繰り返したとしても、人は1000回の同じ作業で、3回ミスをするということにも注意が必要である。
つまり、ヒューマンエラーは必ず発生するのである。
ヒューマンエラー3つの教訓
最後に、ヒューマンエラーの3つの教訓を紹介しよう。
- 人は失敗をする
- 失敗を隠そうとするのは自然の心理
失敗を繰り返さない仕組みを作る