
FDA査察のStatusとは
医薬品や医療機器を日本で製造・販売するためには、米国食品医薬品局(FDA)による査察対応が避けては通れない道である。この際、査察結果の評価区分として「No Action Indicated(NAI)」、「Voluntary Action Indicated(VAI)」、「Official Action Indicated(OAI)」の3つがある。本コラムでは、この3つの評価区分の意味と、評価ごとの適切な対応方法について解説する。
1. FDA査察と評価区分の基礎
FDAによる査察は、GMP違反や品質管理体制の不備を未然に防ぐために実施される。査察の後、FDAは指摘事項ごとにForm 483を作成したり、査察報告書(EIR)によって、施設全体の遵守状況を総合的に評価し、3つの区分のいずれかを付与する。
区分ごとの意味は以下の通りである。
2. No Action Indicated(NAI):問題なしの評価
2-1. 意味
No Action Indicated(NAI)は、査察時に重大な逸脱や逸失が見つからなかった場合に与えられる評価である。この評価では、査察時点でFDAが特段の追及措置(行政処分等)を必要としないと判断したことを意味する。
2-2. 対応方法
NAIの場合、Form 483による指摘もなく、当局からの具体的なアクションも不要である。ただし、査察の過程や報告書で気づいた改善点や指摘未満のコメントについては、今後の自己点検や継続的改善活動の一環として反映させるのが望ましい。
3. Voluntary Action Indicated(VAI):自主的対応を求められる評価
3-1. 意味
Voluntary Action Indicated(VAI)は、違反が認められたものの、その程度が軽微であり、法的措置の対象とはならないが、自主的な是正・改善を求められる場合に付与される評価である。
3-2. 対応方法
VAIの場合、Form 483に違反内容が記載され、これに対して自主的な是正措置を講じることが期待される。是正対応については、具体的なアクションプランを策定し、それを所定の期間内にFDAへ報告する必要がある。今後の査察で改善状況が確認されるため、根本原因の解明とともに、ドキュメンテーションの徹底も重要である。
4. Official Action Indicated(OAI):法的措置を念頭に置いた評価
4-1. 意味
Official Action Indicated(OAI)は、重大な違反が認められ、是正措置を講じなければ行政処分等の法的措置が科される可能性が高い場合に付与される評価である。OAIは、Warning Letter(警告状)やImport Alert(輸入禁止措置)など、FDAによる厳しい対応が取られるリスクを示している。
4-2. 対応方法
OAIの場合は、速やかかつ抜本的な是正措置が求められる。通常、FDAから正式な警告状(Warning Letter)が送られ、その内容に沿った是正プランの提出と実施が必要である。また、この段階では、外部コンサルタントの導入や、再査察に備えた徹底的な体制強化も視野に入れるべきである。是正結果は文書化し、FDAへの報告を通じて、問題が解消されたことを積極的に示すことが不可欠である。
5. まとめ
FDA査察結果の3つの評価区分(NAI、VAI、OAI)は、それぞれ企業に求められる対応の重みやスピード感が異なる。評価結果を正確に理解し、迅速・適切な対応をとることが、グローバル市場での信頼の維持と持続的な事業運営に直結する。初心者であっても、基本を押さえた対応を心掛けることで、リスクを最小限に抑えつつ品質・信頼性の向上を目指すことができる。

