サイトマスターファイルの重要性

1. サイトマスターファイルとは何か

サイトマスターファイル(Site Master File, SMF)とは、主に医薬品・医療機器などの製造所が、その品質システム全体および施設の概要を包括的にまとめた文書である。これは、製造所における品質保証体制や施設の配置、主要な製造工程、管理体制など、査察官に対して製造現場の全体像を理解してもらうために作成・維持される文書である。

2. SMFの構成要素

サイトマスターファイルには、国際的なガイドライン(例えばWHOやPIC/S)で示された構成要素が存在する。主な項目は下記の通りである。 

2-1. 一般情報

ここでは、製造所の名称、所在地、連絡先、管理組織の概要が記載される。また、製造される主な製品群、ライセンス情報も記載する。

 2-2. 組織と人員

品質保証部門および製造部門の組織図、それぞれの責任や権限、従業員の教育・訓練制度について詳細に説明する。

2-3. 施設および設備

建物の配置図や部屋の機能分担、製造・保管エリアの区分け、空調・給排水などのインフラ体制、主要な製造設備の概要を含む。

2-4. 品質マネジメントシステム

品質方針、自己点検、逸脱管理、文書管理、変更管理など、GMP遵守を支えるシステムについての説明がなされる。

2-5. 製造・品質管理のプロセス

製品ごとの主要な製造工程、製造指図書やバッチ記録の管理方法、品質試験、サンプル採取、出荷判定の手順を概説する。

2-6. サプライチェーン・資材管理

原材料、包装資材、受入検査、保管、供給元評価などの管理体制も説明対象となる。

3. 査察におけるSMFの位置づけ

サイトマスターファイルはGMP査察(適正製造基準に基づく監査)の初期段階で提出を求められる。査察官はこのファイルにより、製造所のリスク評価を行い、現地査察で重点的に確認すべき領域を特定する。このため、SMFは「製造所の顔」ともいえる存在である。
また、SMFの記載内容と実態に乖離がある場合、重大な指摘事項となる可能性が高い。したがって、正確かつ最新の情報が反映されていることが極めて重要である。

4. サイトマスターファイルのまとめと今後の課題

サイトマスターファイルは、単なる査察対応資料ではなく、製造所の品質システム全体を客観的に再評価するための有用なツールである。日常的な見直しや関係者間の情報共有を通じて、実効性のある品質マネジメント体制の維持強化を図ることが、今後ますます求められるであろう。

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