日本製のLIMSのほとんどは最新の規制要件を満たせない
2011年1月13日にEU GMP ANNEX 11 Computerised Systemsが改定されました。
ANNEX 11は、FDAのPart11に対する回答書という位置付けで発行されています。
特に、LIMSを用いた出荷判定に関しては、かなり厳しい要件が盛り込まれました。
貴社のLIMSは、ANNEX 11等の最新の規制要件を満たすことができるでしょうか。
またこれからLIMSを導入しようとしている企業では、何を基準にシステムを選定すればいいのでしょうか。
イーコンプライアンスでは、どのLIMSを選択すべきか、またバリデーションやPart11対応等の規制要件遵守のためのコンサルテーションをご提供いたします。
厚労省「コンピュータ化システム適正管理ガイドライン」とLIMS
厚労省「コンピュータ化システム適正管理ガイドライン」は、平成22年10月21日に発出され、平成24年4月1日から施行されることとなりました。
施行日以降は、業許可更新の定期GMP査察において、新ガイドラインの適合状況を調査されることとなりました。
新ガイドラインに関する査察では、製品品質に直接影響を与える構造設備のほか、ERP、LIMS、DCSなどの重要なコンピュータ化システムについても調査を受けることになりました。
特にLIMSは、出荷判定に大きな影響を持つことから、集中的に調査が行われることが予想されます。
なぜ出荷判定が重要か
これまでのGMPは、製品品質に関するリスク管理が中心でした。しかしながら、ICH Q8、Q9、Q10等の新しい枠組みでは、患者の健康被害に関するリスクが中心に据えられました。
製品品質もさることながら、患者に対する健康被害は最も重要なテーマです。
したがって、けっして品質規格を外れた製品を出荷してはならないということです。
一般に出荷判定は、製造記録および品質試験の記録を見て実施されます。
これら製造記録および品質試験の多くは、電子で作成され、管理されていることが多いでしょう。
電子記録を用いて、出荷判定を行うため、日米欧の規制当局は電子記録・電子署名に関する規制要件を課し、厳重にチェックを行う傾向にあります。
ANNEX 11と出荷判定
ANNEX 11では、出荷判定に関して、以下のような要求事項が記載されています。
8. Printouts 印刷物
8.1 電子的に保管されたデータについては、明確に印刷されたコピーを出力できなければならない。
8.2 バッチリリースを裏付ける記録に対しては、データが原本の入力時から変更されているかどうかを示す印刷物を生成できなければならない。
バッチリリース(出荷判定)を裏付ける記録とは、製造記録および品質試験記録を指します。これらに関しては、データが原本の入力から出荷判定までの間に変更されているかどうかを示す印刷物を生成できなければなりません。
例えば、分析機器から取り込んだ測定データ(生データ)から、各種の計算、集計を経て出荷判定に至るまでの間のデータの変更履歴(監査証跡)を印刷できなければならないわけです。
15.Batch release バッチリリース
コンピュータ化システムが、承認およびバッチリリースの記録に使用される場合には、そのシステムは適格な者にのみバッチのリリースの承認を許可し、バッチをリリースした者すなわち承認した者を明確に記録しなければならない。
当該作業には、電子署名を利用しなければならない。
つまり、出荷判定(バッチリリース)は、特定の責任者にしか認められず、電子署名を用いて承認しなければならないということです。
電子署名を強制する理由は、印刷し手書きの署名を行った場合、バックデートでサインできるためです。(ハイブリッドシステムの問題点を参照)
21 CFR Part 11と出荷判定
21 CFR Part 11の§11.10 (h)には、以下の記載があります。
(h) Use of device (e.g., terminal) checks to determine, as appropriate, the validity of the source of data input or operational instruction.
(h) 適宜、データ入力や操作の指示の根拠となっている事項の有効性を判定するために(端末装置等の)装置チェックを利用すること。
これは出荷判定に使用するワークステーション(PC端末)は、限定されており、それ以外の端末からは出荷判定を受け付けないようにしなければならないという要件です。
LIMS導入支援コンサルテーション
イーコンプライアンスでは、FDA、EMAの規制要件を研究し、製薬企業におけるもっとも効果的かつ高効率なLIMSの導入をご支援いたします。