機能リスク評価(詳細なリスクアセスメント)とは何か

システム開発や運用において、リスクアセスメントは不可欠なプロセスである。一般的には、まずシステム全体としてどのようなリスクが存在するかを把握し、潜在的な問題や不具合の発生確率と影響度を評価する。しかし、多くのシステムは多数の機能で構成されており、すべてを同じレベルで検証・管理することは現実的ではない。そこで重要となるのが、機能リスク評価(詳細なリスクアセスメント)である。

トレーサビリティマトリックス

機能リスク評価とは、全体のリスク評価結果を踏まえ、システムを構成する個々の機能ごとにリスクをさらに細分化して分析する手法である。機能単位でリスクの大きさを評価し、高リスクと判定された機能にリソースを集中してテストや対策を実施する。このアプローチにより、安全性や品質の確保と、テストや監査に要するコストの最適化を両立することができる。
具体的には、各機能が不具合を起こした際の影響度や、利用頻度、外部とのインターフェース、過去の障害履歴などを考慮し、リスクスコアを算出する。リスクスコアが高い機能は重要度も緊急度も高いため、こうした箇所には重点的かつ念入りな品質保証活動が必要となる。一方で、リスクが低い機能については、テストや監査の範囲や深度を適切に限定することができる。これにより、限られた工数や予算の中で最大限の安全性・信頼性を確保することが可能となる。

FMEAによる詳細なリスクアセスメント

この方法は、いわゆる「リスクベースアプローチ(リスクに基づくアプローチ)」の実践形である。ITシステムに限らず、医薬品や自動車など高い信頼性が求められる分野でも、この流儀が広く採用されている。リスクベースアプローチは、従来の網羅的・一様なテストに比べて効率的でありながらも、肝要なリスクを見落とさないという利点を持つ。その結果、法令や規制(コンプライアンス)への対応コストも抑えることができ、ビジネス面でも大きなメリットを生み出す。

トレーサビリティマトリックスと機能リスク評価

まとめると、機能リスク評価とは、システム全体だけでなく、個々の機能レベルまでリスクを評価し、リソース配分を最適化することで品質保証を合理的に行う手法である。このプロセスを通じて、必要十分な品質と効率的なリスク対応を両立できる点がその最大の特徴である。リスクベースアプローチを実践するうえで、初心者にも理解しやすいかつ専門的なエッセンスを持つ、重要な方法論であると言える。

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