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水平展開は予防処置ではない理由について

https://qmsdoc.com/product/md-qms-358/
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水平展開は予防処置ではない理由について

筆者がCAPA(是正処置・予防処置)に関するセミナーを実施した際に、しばしば質問を受けることがある。
その一つは「水平展開は予防処置ではない。」という根拠についてである。

筆者は、CAPAセミナー等で「水平展開は予防処置ではなく是正処置である。」と解説している。

ある事象で発生した根本的原因は、他の製品やプロセスにおいても存在することがあり、水平展開することは極めて重要なことである。

是正処置・予防処置の考え方は以下の通りである。
是正処置・・・発生した事象(過去形)の再発防止
予防処置・・・リスク(未来形)の未然防止

ISO 9000:2015 (JIS Q 9000:2015)において、予防処置の定義は「起こり得る不適合またはその他の起こり得る望ましくない状況の原因を除去するための処置。」とある。
この定義において「起こり得る不適合」とは、まだ発生していない問題、すなわち「リスク」を未然に防止することである。

水平展開は、発生してしまった事象(過去形)に対する他の製品やプロセスへの適用であるため、決して未来形ではない(リスクではない)。
つまり根本的原因が同じものに対する処置である場合、リスクを発見し、リスクを防止した訳ではないのである。

ただし、筆者は水平展開が是正処置か予防処置かといった議論は、どちらでも良いと考えている。
大切なことは、可能な限り、再発防止および未然防止に努め、患者の安全性、製品の品質等を確保することであって、水平展開は予防処置かどうかではない。

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