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CAPAの7段階

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CAPAの7段階

筆者がこれまで多くの医薬品企業や医療機器企業においてコンサルテーションを実施してきた中で、CAPAの手順が我流(自社流)になっているケースをしばしば見かける。
効果的、完全遵守の是正・予防処置のプログラムは、システマチックであるべきで、下記の7段階のプロセスに分けられる。

  1. Identification(問題の識別)
  2. Evaluation(評価) 重大性と影響の見積り
  3. Investigation(原因調査) 問題の調査計画の立案
  4. Analysis(分析) 綿密な評価の実行
  5. Action Plan(行動計画) 必要なタスクのリストの作成
  6. Implementation(処置の実施) 行動計画の遂行
  7. Follow Up(フォローアップ) 効果の検証と評価

各ステップは完全に文書化されなければならない。

Identification(問題の識別)

CAPAプロセスの最初のステップは問題または潜在的問題(つまりリスク)を明確に定義することである。問題の詳細な説明および問題が存在するという有力な証拠の文書化が必要である。
CAPAは誰でもが起票できることが望ましい。不適合の発見者(または不適合の報告を受けた者)が容易に起票できなければ、品質改善が遅々として進まないことになる。
自発的なCAPA(例:工程内不適合、手直し、特別採用、トレンド(統計的手法)等)が望ましい。
他力本願によるCAPA(例:苦情、監査(社内・外部・サプライヤ・第三者監査)の指摘、FDAからの指摘等)は、必要かつ重要ではあるが、いわば対応が後手になっている訳である。
自発的にCAPAが起票できなければ、自浄能力はなく、不適合率の減少は望めない。
各手順書に、CAPAを起票するクライテリア(条件)を明記しておくことが必要である。

Evaluation(評価)

重大性と影響の見積りを行う。問題の潜在的影響や企業とその顧客へのリスクを評価する。
またCAPAを実施する前に必要になる応急処置と修正処置を決定すること。
インパクトの評価結果に基づき、問題の重大性を評価すること。
重大性に応じて、対応処置の優先順位を決定することになる。

Investigation(原因調査)

問題の調査を実施するための調査計画を作成し、調査が完全で見落としがないことを確認する。
「調査計画書」は以下を含むものとする:
・調査の目的
-目的は、是正または予防処置に求められる結果のステートメントである。
-その目的の全ての側面が満たされ検証されたとき調査は完了する。
・調査の戦略
・責任の割り当てと必要なリソース(例:責任者、担当者)

 Analysis(分析)

「調査計画書」に従い、綿密な評価を実行する。
分析においては、あらゆる可能性のある原因を推定し(つまり仮説を立て)、適切なデータを集めることによって原因であるか否かを決定する。
収集したデータは整理し、文書化しておくこと。場合によっては再現実験が必要となる場合がある。
原因調査のゴールは、根本的原因の特定である。根本的原因が特定できなければ、是正処置が実施できない。すなわち再発を防止することが出来ないことになる。
なぜこのような事態を引き起こすようになったのか、その“なぜ”を見極める必要がある。
是正処置には必ず根本的原因(Root Cause)の除去がある。
根本的原因を除去するためにはあらゆる原因を究明しなければならない。原因を究明して特定することが是正処置には欠かせない行動ということである。
原因の究明なくして是正処置はあり得ない。
そして、特定された原因を除去することは、二度と同じ不適合やその他の望ましくない状況を起こさないようにすることである。
つまり再発防止をはかることである。
根本的原因として、システム(仕組み=QMS)における欠陥・弱点・不備・矛盾・曖昧さを追求すること。
すなわち、是正処置(再発防止)の核心は、QMSの欠陥・弱点・不備・矛盾・曖昧さに対して対処することである。
しかし、いきなり根本的原因(真の原因)を特定するといっても、そう簡単に真の原因が見えてくるわけではない。

Action Plan(行動計画)

分析に基づき、問題を是正・予防するための最良のアクションプランを作成する。
このアクションプランには、実施すべき変更とタスクに対する責任の割り当てを記載すること。
また、適宜、完了すべき処置、文書または仕様の変更、プロセス、手順またはシステムの変更、従業員教育、問題の再発を防止するための監視または管理、および各作業を完了するための責任者/担当者を列挙すること。
ヒューマンエラーや人の規律・注意力・自覚などの人為的要素を是正処置とすると、いずれ再発する。
“教育訓練を徹底させた”などという是正処置はあり得ないのである。あくまでもQMSの欠陥等に対して対処する計画とすること。

Implementation(処置の実施)  

アクションプランで計画したタスクを遂行する。

アクションプランに記載されたすべての必要な作業を完全に文書化すること。

変更した手順書、文書、仕様書等は、必ず記録しておくこと。

また、社員教育はあらゆる変更実施の必須事項であり、アクションプランの一部とするべきである。
効果的であるためには、全ての修正、変更実施は影響を受けているまたはこれから影響を受ける全ての人員、部門、サプライヤ等に周知すること。

Follow Up(フォローアップ)

CAPAプロセス中で最も基本的ステップの一つは、有効性の確認(対応処置の評価の完了)である。
有効性の確認は、識別されたタスクの完了の検証だけでなく、対応処置の適切性と効果を評価すること。
有効性の確認(フォローアップ)が終了した時点でCAPAは完了する。
日付の記入、適切な権限を持つ要員による署名を行うこと。
実施したCAPAは、統計解析およびデータ分析を実施したうえで、マネジメントレビュへ報告することとなる。
上記の7段階を手順書として作成しておくことを強く推奨する。

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