• 厚労省ER/ES指針ワンポイント(初級編)
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厚労省ER/ES指針の解釈を、非常に大きく解説しているコンサルタントが見受けられます。
あまり鵜呑みにして対応をすると、青天井の対応になってしまい、多大な労力・費用を費やしてしまいます。
まずはここで解説するとおり、先入観にとらわれずに、素直に条文を解釈した方が良いでしょう。

厚労省ER/ES指針は、医薬品等の申請等において当局に資料を電子的記録により提出し、またその提出資料を作成するために根拠とした原資料を電磁的に保存する場合の要件です。
対象となるものは、以下の3種類があります。

  1. 資料
  2. 原資料
  3. その他薬事法及び関連法令により保存が義務づけられている資料

ここで「資料」とは、薬事法及び関連法令に基づいて、医薬品等の申請等にあたって提出する書面を言います。
「原資料」とは、資料の根拠となる資料で、薬事法及び関連法令により保存が義務づけられている書面を言います。

つまり厚労省ER/ES指針では、当局に提出した書面のみを「資料」と呼びます。我々が普段呼んでいる「資料」とは定義が異なります。また原資料は、その「当局に提出した資料」の根拠とした資料のみを言います。これも我々の普段使っている「原資料」とは定義が異なります。
厚労省ER/ES指針は、これら資料および原資料を電子的記録により提出したり、保存する場合の要件であるわけです。
あくまでも書面を対象にしており、データは対象としていません。
例えば、DMシステム中のデータは厚労省ER/ES指針の対象ではありません。これに対して、EDCシステムは対象となります。なぜならばCRFという「原資料」を作成するからです。
厚労省ER/ES指針は、本来書面(紙媒体)で保存が義務付けられている資料等を、紙ではなく電子的記録によって保存する(つまりペーパーレスにする)場合の要件です。
紙の代わりに、フロッピーディスクや、CD-Rなどで電子的に保存しておけば良いことになります。
このことは、電子文書法および厚生労働省令第44号で法的に認められています。

ただし、紙での保存と違って、電子文書はいくつかの回避すべきリスクがあります。
例えば、紙媒体と違って、作成者(文書に責任を持つ人、つまり承認者)が不明確になる恐れがあります。また改ざんなどもおこり得ます。そのために厚労省ER/ES指針では、真正性の確保を求めています。つまり当該資料が本物であるということの保証です。

また、紙媒体と違って、電子文書は時間とともに技術革新などに伴い、記録を読み出すためのアプリケーションやドライブのサポートがなくなり、印刷やディスプレイに表示ができなくなる可能性があります。そのために厚労省ER/ES指針では、見読性の確保を求めています。
さらに、紙媒体と違って、電子記録媒体は経年劣化を起こします。時間とともに読み出せなくなるという問題があります。そのために厚労省ER/ES指針では、保存性の確保を求めています。

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