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リスクに関するクイズ

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リスクに関するクイズ

ISO-9001:2015では、リスクの定義が変更になった。
ISO 9001:2015 は、リスクを“期待される結果に対する、不確かさの影響”と定義している。この定義を良く理解して、下記の質問に回答して頂きたい。

【質問】

次の語群のうち「リスク」と反対の意味を表す言葉として最もふさわしいものを選べ。

  1. 「安心」
  2. 「安全」
  3. 「確実」
  4. 「チャンス」
  5. 「リターン」 

【回答】

正解は、3.「確実」である。

なぜならば、リスクは“不確か”なことをいうためである。

さらに、下記の質問に回答して頂きたい。

【質問】

次にあげる事例のうち、最もリスクが小さいと思われるものはどれか。

逆に、最もリスクが大きいと思われるものはどれか。

  1. 今回の博物館の展示物の目玉は、エジプト王朝の首飾り。国際的な窃盗団が狙っているという噂あり。時価10億円と評価されているので、同額の保険をかけている。
  2. Aさんは、ある製薬会社の株主。その製薬会社の医薬品に重大な副作用があることが社内で確認された。その情報は公表されていないので、Aさんは知らない。
  3. ある通信機器メーカーは、新しい情報端末が大当たりし、売れ行きが絶好調。
    決算発表では、来期の売り上げは今期の5倍増を見込んでいると発表した。
  4. ある零細企業、今日中に1000万円を用意しないと倒産に至るところまで追い込まれた。
    万策を尽くしてかき集めた手元資金が500万円しかない。
  5. その日はたまたま早くに準備が整ったので、いつも乗る通勤電車より1本早い電車に乗った。
    会社に着いたとき、いつもの通勤電車が脱線事故を起こしていたことを知った。

【回答】

正解は、

最もリスクが小さいものは4.である。なぜならば“倒産確実”だからである。この企業にとっては、倒産は確定であり、不確実ではないのである。

最もリスクが小さいものは3.である。なぜならば“来期の売り上げは今期の5倍増を見込んでいるが不確実”であるためだ。

上記の2つの質問から分かることは「起きてしまったもの(確実なこと)はリスクとは言わない。」ということである。

起きてしまった事象は「問題」という。

「問題」は、再発を防止するためにCAPAを実施する必要がある。

筆者は多くの製薬企業や医療機器企業でリスクマネジメントに関するコンサルテーションや監査を実施するが、発生した問題についてリスク分析(重大性×発生確率)を実施しているケースをしばしば見かける。

これは間違いである。

発生した問題についてはリスク分析ではなく、再発防止のための是正処置を実施しなければならないのである。

発生した問題については、重大性のみが検討課題となる。発生確率は求めないのが一般的だ。

例えば、列車事故または航空機事故があったとしよう。事故調査委員会が「今回の事故は重大ではあったが、発生確率が極めて少ない(稀)ので再発防止は行わない。」と判断したらどう思うだろうか。

そんな対応はあり得ないのは自明である。

なお、経済学では、利得がある不確実性をアップサイドリスク、損失する不確実性をダウンサイドリスクと呼ぶ。つまり、リスクには、PositiveリスクとNegativeリスクが存在する。

Positiveリスクは、例えば「ビールをもっと製造していたらもっと売り上げていたのに。」などである。

製薬業界や医療機器業界などの製品安全分野はNegativeリスクのみが対象となる。

Negativeリスクは、マイナスに影響をするもののみを言い、プラスの影響は視野に入れないのが一般的である。ハザード関連のリスクのみ対象となるのである。 つまり、製薬業界や医療機器業界において「リスク」=「不確実」という定義は不適切なのである。

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