GxP対応でないから紙に印刷!?

前回、クラウドストレージサービスにおいてPart11対応をしなければならないかについて解説した。
企業によっては、過剰反応したり、電子データを使用しなくなってしまうケースすら見受けられる。
しかしである。例えば、MS-ExcelなどはGxP対応できない。しなしながら多くの企業では、MS-Excelを使用してGxP業務を実施しているのではないだろうか。
大切なことは、適切な手順書を作成して、セキュリティを確保し、手順書に則った作業を実施するということである。
また、QC、QA、監査といった品質保証の仕組みを実行することも大切である。

筆者は、多くの会社からしばしば「GxP(Part11)対応できていないシステムなので、紙に印刷して署名(捺印)してもらっている。」といった話を聞く。
これは本末転倒である。
というよりも、電子記録を紙に印刷して署名するといったいわゆる「ハイブリッドシステム」は、むしろGxP違反を助長させてしまうのである。
当社では「ハイブリッドシステム」の危険性についてこれまで何度も警鐘を鳴らしてきた。
「ハイブリッドシステム」では、過去の電子データを改ざんし、再印刷したうえでバックデートで署名が出来てしまうのである。
したがって、FDAをはじめ多くの規制当局は電子データを印刷した紙記録を信用しないのである。
(詳しくは、タイプライターイクスキューズを参照されたい。)

そもそも、Part11やER/ES指針は電子記録を作成した時点から適用されるのであって、最終的に紙に印刷したところで適用を免れることはできない。
つまり、そんな姑息な手段は通用しないのである。

ER/ES指針の適用範囲にも、最終形態が紙媒体であっても、途中電磁的記録や電子署名を使用している場合は、適用を受ける旨が記載されている。

せっかく情報化投資をしていながら、最終的に紙に印刷し、膨大な資料を保管するといった手間やコストをかけているなんてナンセンスである。
しかるべき手順書の発行と完全遵守が求められる。

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