11.1 医療機器の保険償還制度の概要
日本の医療機器の保険償還制度は、国民皆保険制度のもとで医療機器の普及と適正使用を促進するための重要な仕組みです。この制度により、保険適用された医療機器の費用は一部または全額が公的医療保険から支払われます。
保険償還制度の基本構造
日本の医療機器の保険償還は主に以下の仕組みで行われます:
- 特定保険医療材料制度
- 機能区分ごとに償還価格(材料価格)が設定
- 中央社会保険医療協議会(中医協)で価格が決定
- 原則2年ごとの価格改定
- 診療報酬制度
- 医療機器を用いた医療行為に対する診療報酬点数
- 技術料として医療機関に支払い
- 設備整備費、維持費等を含む
- 包括払い制度
- DPC(診断群分類包括評価)による入院医療費の定額払い
- 一部の医療機器は別途算定(出来高払い)も可能
医療機器は「償還価格が個別に設定される特定保険医療材料」と「診療報酬に包括される医療機器」に大別され、償還方法が異なります。新規性が高く革新的な医療機器ほど、個別の保険償還価格が設定される可能性が高くなります。
医療機器ベンチャーが開発する製品の市場性を評価する上で、どの償還方式が適用されるか、またどの程度の償還価格が期待できるかは、事業計画の重要な検討項目となります。