不正と意図しない変更の違い 

不正と意図しない変更の違い

意図的な不正と意図しない変更は、同じくデータインテグリティを脅かすが、その性質と対応方法は異なる。不正は主に経営者や責任者によって行われ、経済的利益や規制逃れを目的とする。一方、意図しない変更は、SOPの誤解や思い込みによって発生する。当事者本人は是だと考えて変更しているが、変更が間違い(勘違い)という事もあり得るのである。
しかし、患者の安全性の観点からは、不正による改ざんも意図しない変更も同等の重大性を持つ。そのため、意図的であるか否かに関わらず、あらゆる意図しない変更からデータを保護する必要がある。

改ざんの定義
改ざんの定義も重要である。辞書的には「故意もしくは過失により本来でない形式内容に書き換えること」を指し、必ずしも悪意のある行為だけを指すわけではない。ヒューマンエラーによる変更も改ざんに含まれる。

データガバナンスとクオリティカルチャー
データインテグリティの確保には、クオリティカルチャー(品質文化)の醸成が不可欠である。これは単なるBlind Compliance(盲目的な規制遵守)ではなく、全ての従業員が品質に対する改善意識を持ち続ける文化を指す。
重要なのは、エラーや失敗を報告しやすい環境づくりである。エラーを報告した従業員を叱責するのではなく、むしろ改善提案として評価する文化が必要である。個人を叱ることではなく、システムや手順を改善することが重要である。
また、内部コミュニケーションの活性化も重要である。小さなミスや失敗でも気軽に報告できる文化があれば、問題が大きくなる前に対処することができる。

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