ユーザビリティエンジニアリングの適用範囲

JIS T 62366-1:2022への適合

医療機器企業は、2024年3月31日までに、JIS T 62366-1:2022 「医療機器-第1部:ユーザビリティエンジニアリングの医療機器への適用」(IEC 62366-1:2015+AMD1:2020)への適合をもって、医療機器基本要件基準の第9条および第16条等で規定するユーザビリティへの適合をしなければならない。
ユーザビリティエンジニアリングを実施して、使用エラーのない医療機器を設計開発すること。
そのためには、

  1. ユーザビリティに係る事項への適合の確認を行う体制を整備すること
  2. IEC 62366-1に適合するよう手順書改訂など、必要な措置を講ずること
  3. 医療機器の承認申請等の添付資料においてIEC 62366-1への適合性を説明すること
  4. 査察時において、医療機器の設計管理がIEC 62366-1に適合して実施されたことを資料を提示し適切な説明を行うこと

などが求められている。

ユーザビリティとは何か

一般的には、ソフトウェアなどの操作性や使いやすさを示す言葉。
なるべく簡単で、迷わず、ストレスを感じずに操作できることを「ユーザビリティが良い(高い)」と言う。
インターフェース設計を行う際には、ユーザビリティを考えながら表示やボタンなどを適切に考慮する必要がある。
そのため、ユーザビリティエンジニアリングでは、インターフェースに注目してリスクマネジメントを実施することとなる。
インターフェースは、LCD(液晶ディスプレイ)のみではなく、人間の視覚、聴覚、触覚などによって認識されるすべてのものが含まれる。
例えば、取扱説明書、ラベル、ボタン、形状、色、アラーム音などである。

使用エラーのない「安全」な医療機器

ユーザビリティには「使いやすさ」、「ユーザの満足度」および「見栄え」も含めているが、医療機器設計開発で求められているのは使用エラーのない「安全」な医療機器である。
従って、医療機器に適用しているユーザビリティエンジニアリングは使いやすさを評価するものでなく、使用エラーのない安全な医療機器を設計するための分析手法である。
例えば、100円ライター(使い捨てライター)はノックが重く設計されている。火が着きにくい訳であるが、これは子供がいたずらをして火事を起こさないなどのための安全設計である。
このように安全のためわざと使いにくくすることもユーザビリティである。

ユーザビリティエンジニアリングの適用範囲

すべての医療機器がユーザビリティエンジニアリングの対象となる。
ME機器のみが対象ではないことに注意が必要だ。
またClass I機器も除外されない。
前述の通り、ソフトウェアインターフェース以外のインターフェース(取扱説明書、ラベル、ボタン、形状、色、アラーム音)にも適用される。 附属資料(取扱説明書、添付文書、教育用資料等)もインターフェースの一部とみなされる。

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