Guidance on Article 15 of the Medical Device Regulation (MDR) and in vitro Diagnostic Device Regulation (IVDR) regarding a ‘person responsible for regulatory compliance'(PRRC)

欧州委員会(European Commission, EC)が2019年7月に「Guidance on Article 15 of the Medical Device Regulation (MDR) and in vitro Diagnostic Device Regulation (IVDR) regarding a ‘person responsible for regulatory compliance'(PRRC)」(MDRおよびIVDR第15条における「規制遵守に関する責任者(PRRC)」に関するガイダンス)と題するガイダンス文書を発出した。
PRRCとは今般制定されたEU MDR 2017/745およびIVDR 2017/746において新たに求められる役職であり、EUで医療機器を販売する企業はPRRCを新たに設置することが求められる。

以下においてPRRCに関するガイダンスの内容を紹介する。

1.製造業者のPRRC設置について

MDRおよびIVDRの第15条において、企業は少なくとも1人の規制要件遵守に関する責任者を置かなければならない。
当該責任者の設置に関してはManufacturers(従業員50人以上及び年間総売上高又は総資産が1000万ユーロを超える業者)とMicro and small manufacturers(従業員50人未満及び年間総売上高又は総資産が1000万ユーロを超えない業者)において差があることに留意すること。

PRRCの資格要件:

  • PRRCは以下のいずれかの要件を満たさなければならない
    • 関係する加盟国によって同等と認められる法律、医学、薬学、工学、またはその他の関連する科学分野に関する大学の学位または学問の修了時に授与される卒業証書、証明書、またはその他の正式な資格の証明、及び少なくとも1年間の規制関連業務または医療機器に関連する品質管理システムにおける専門的経験。
    • 規制関連業務または医療機器に関連する品質管理システムにおける4年間の専門的経験

PRRCの資格要件:

  1. Manufacturersの場合の設置義務
  • Manufacturersは少なくとも1人、自組織内にPRRCを設置しなければならない
    • 「自組織内への設置」とは当該組織に雇用されていることを意味する
  • 1つ以上のlegal manufacturerが親会社に紐づいているケースにおいては、それぞれのlegal manufacturerごとに独自のPRRCを設置すること
  • EU外のmanufacturerの場合、PRRCが製造所と緊密な連携をとることの重要性とその恒久的かつ継続的な性質から、EU外にPRRCを置く必要がある。
  • 一方で、EU内のmanufacturerの場合にはEU内にPRRCを置く必要がある。
  1. Micro and small manufacturersの場合
  • Micro and small manufacturersは自組織内にPRRCを設置する必要はないが、そのような人物を恒久的および継続的に使用できなければならない
    • 「恒久的および継続的に使用」とは、適格基準が満たされ、製造業者が法的義務をどのように満たすことができるかを証明し文書化できる限り、Micro and small manufacturersはPRRCの責任を第三者に委託することができる。例えば、PRRCは外部組織の一部である場合があり、その場合、製造業者は、その当事者の恒久的かつ継続的な使用可能性を確保するための規定を定めた契約を結んでいること。契約書には、MDRおよびIVDRの第15条(1)のaおよびbを満たす関係者の資格を記載する必要がある。
  • EU内のMicro and small manufacturersの場合、恒久的および継続的に使用できる人物はEU内にいる必要がある。
2.Authorised representatives (欧州代理人)のPRRCの設置について

欧州代理人は、EU内の医療機器の規制要件に関して必要な専門知識を有する、規制遵守に責任を負う少なくとも1人の人物を恒久的かつ継続的に使用できること。

PRRCの資格要件:

  • 以下のいずれかの要件を満たすこと
    • 関係する加盟国によって同等と認められる法律、医学、薬学、工学、またはその他の関連する科学分野に関する大学の学位または学問の修了時に授与される卒業証書、証明書、またはその他の正式な資格の証明、及び少なくとも1年間の規制関連業務または医療機器に関連する品質管理システムにおける専門的経験。
    • 規制関連業務または医療機器に関連する品質管理システムにおける4年間の専門的経験

PRRCの設置義務:

  • 「恒久的かつ継続的に使用できること」とは、資格要件が満たされ、Authorised representativesが自らの法的義務をどのように満たすことができるかを証明し文書化できる限り、Authorised representativesは規制遵守の責任者の責任を第三者に委託することができる。例えば、PRRCは外部組織の一部である場合があり、その場合、製造業者は、その当事者の恒久的かつ継続的な使用可能性を確保するための規定を定めた契約を結んでいること。契約書には、MDRおよびIVDRの第15条(1)のaおよびbを満たす関係者の資格を記載する必要がある。
  • Authorised representativesがEU内に設置されることを考慮すると、恒久的かつ継続的に使用可能なPRRCもEUに設置する必要がある。
3.製造業者に設置されるPRRCの役割と責任について

PRRCは少なくとも次のことを保証する責任を負う:

  • 機器がリリースされる前に、機器が製造される品質管理システムに従って、機器の適合性が適切にチェックされること。
    • 【根拠条文】治験用(性能試験)機器以外の機器の製造者は、リスククラスおよび機器の種類に応じて、本規制要件の遵守を最も効果的かつ確実な方法で保証する品質管理システムを確立し、文書化し、実施し、維持し、継続的に改善しなければならない。(MDR第10条(9)およびIVDR第10条(8))。
  • 技術文書とEUの適合宣言が作成され、最新の状態に維持されていること。
    • 【根拠条文】製造業者(カスタムメイドの機器以外の機器の)は、それらの機器に関する技術文書を作成し、最新のものにする(MDRおよびIVDR第10条(4))
    • 製造業者(カスタムメイドの機器以外の機器の)は、EU適合宣言を作成する。(MDR第10条(6)およびIVDR第10条(5))。
  • MDR第10条(10)(IVDR第10条(9))に従い、市販後監視義務を遵守すること。
    • 【根拠条文】機器の製造業者は市販後監視システムを実施し、最新のものにしなければならない(MDR第10条(10)およびIVDR第10条(9))。
  • MDR第87条から第91条まで(IVDR第82条および第86条)に規定された報告義務を履行する。
    • 【根拠条文】製造業者は、事故の記録および報告ならびに第87条および第88条に記載されているような現場の安全性に関する是正処置をとるためのシステムを有すること。(MDR第10条(13)およびIVDR第10条(12))。
  • 治験用機器の場合、附属書XVの第2章4.1節(IVDR附属書XIVの第4.1節)に記載された声明を発出する。
  • 製造業者は、治験用機器(性能試験用)の製造に責任を持つ自然人または法人によるの署名付の声明が、臨床試験(性能試験)で網羅されている側面とは別に一般的な安全性および性能要件に適合することを保証しなければならない。 そして、それらの側面に関しては、被験者の健康と安全を守るためにあらゆる注意が払われてきた。
4.Authorised representatives (欧州代理人)に設置されるPRRCの役割と責任について
  • 欧州代理人のPRRCは、第11条(3)に従って、委任において指定された欧州代理人のタスクが確実に遂行されるようにする責任を負う。
5.製造業者とAuthorised representatives (欧州代理人)で同一人物をPRRCとして指名できるか?
  • 欧州代理人と「EU外」の製造業者のPRRCは、同一人物とはできない。
    • 規制要求の期待は、欧州代理人におけるさらなるレベルの監視を追加すること、及び機器製造の監督および管理、ならびに関連する市販後の監視およびビジランス活動が適切に行われることを確実にすることであり、2つの役割が同一人物によって行われた場合、さらなるレベルの精査が損なわれるため。
    • 同じ理由から、micro or small enterpriseのPRRCとその同じ企業の欧州代理人のPRRCは、同じ外部組織に属してはならない。

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