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米国QMSRについて – お役立ち情報

米国QMSRについて

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R.K.
8月 05, 2026 08:23 AM 1 Answers QMSR
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米国医療機器規制QMSRで「医療機器マスターレコード(DMR)を維持しなければならない。」とあるが、このDMRは欧州医療機器規制(MDD、MDR)で作成した技術文書と同じ構成で良いか?

欧州の技術文書は技術情報をひとつに纏める形に対して、米国QMSRは本体はリストで、そのリストから各技術情報のファイルを参照する形にする必要有り?

新たに作成するのは大変なので、なるべく欧州技術文書を流用するような感じにしたい

以上、宜しくお願い致します

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ecompliance
8月 10, 2026
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1. 結論(3点)

1-1. QMSR には「DMR(医療機器マスターレコード)」という用語はもう存在しません

2026年2月2日施行の QMSR で、21 CFR Part 820 に ISO 13485:2016 が引用組込み(incorporation by reference)されました。これに伴い旧 §820.181(DMR)・§820.30(j)(DHF)・§820.184(DHR)を含む Subpart C〜O および §820.20〜820.30 は条文上 [Reserved](留保)となり、要求事項は §820.10 経由で ISO 13485 に移管されています。 FDA は最終規則コメント31で次のように説明しています。 “The recordkeeping requirements in ISO 13485 are substantively similar to those in the QS regulation and, because there is no reference to these terms in ISO 13485, we have eliminated this terminology as it is no longer necessary.” ご覧になった「DMR を維持しなければならない」という記述は、旧 QSR ベースの解説書か、MDF を旧称で意訳したものと思われます。

1-2. 「リスト+参照」形式は必須ではありません(どちらでも可)

ISO 13485 4.2.3 の原文は “establish and maintain one or more files either containing or referencing documents” です。つまり①一冊に綴じ込む、②索引から各文書を参照する、③その混在 ― いずれも適合です。ISO の実務ガイドも「文書全体、認可された写し、または QMS 内の他所にある文書・記録の索引として維持できる」と明記しています。 なお旧 §820.181 も “shall include or refer to the location of” でしたので、実はこの点は昔から変わっていません。

1-3. 欧州技術文書の流用は可能です(ただし「そのまま提出」では足りません)

MDF は EU 技術文書と目的が違います。EU 技術文書=適合性を証明する申請用ドシエ、MDF=その製品を作り・検査し・出荷し続けるための現行仕様と手順の集合です。重なる部分は大きいものの、製造・検査・据付・サービスの実務手順まで踏み込む点で MDF の方が「工場寄り」です。

2. 旧用語 → QMSR での受け皿(1対1ではありません)

旧用語 QMSR での受け皿
DMR ISO 13485 4.2.3(医療機器ファイル/MDF)
DHF ISO 13485 7.3(特に 7.3.10 設計・開発ファイル)+ §820.10(c)
DHR ISO 13485 4.2.5(記録の管理)+ 7.5.1/7.5.8/7.5.9(製造管理・識別・トレーサビリティの記録)+ §820.35(c)
重要:DHR 相当の製造記録は MDF には入りません。 MDF は「作り方の仕様・手順」、DHR 相当は「実際に作った結果の記録」で、ISO 13485 では別建てです。MDF インデックスを設計する際、製造記録(ロット記録・検査成績書等)を MDF に綴じ込まないでください。これは実務で最も多い誤設計です。

3. ギャップ・マッピング(ISO 13485 4.2.3 × MDR Annex II)

ISO 13485 4.2.3 の必須項目 EU 技術文書(MDR Annex II)で流用できるか
(a) 一般的記述・意図する使用・ラベリング・IFU ◎ 1.1・1.2 をほぼそのまま流用可(ただし米国版ラベル/IFU は別途)
(b) 製品仕様 ◎ 2(設計・製造情報)を参照
(c) 製造・包装・保管・取扱い・流通の仕様または手順 △ Annex II 3 は「製造工程の概要」止まり。実手順書・工程仕様への参照追加が必要
(d) 測定・監視の手順 △ 検証データはあるが、日常の受入/工程内/最終検査手順への参照追加が必要
(e) 該当する場合、据付要求事項 △ 該当機種は追加参照
(f) 該当する場合、サービス手順 △ 該当機種は追加参照

4. 米国固有で必ず足すもの(欧州技術文書に存在しない)

4-1. UDI 関連 ― 「付与」と「記録」で根拠条文が分かれます

  • UDI の付与・GUDID 登録820.10(b)(1) → 21 CFR Part 830
  • 820.10(b)(1):For Clause 7.5.8 in ISO 13485, Identification, the manufacturer must document a system to assign unique device identification to the medical device in accordance with the requirements of part 830 of this chapter.
  • 記録への UDI 記載820.35(a)(3)(苦情記録)・(b)(2)(サービス記録)・(c)(7.5.1/7.5.8/7.5.9 に関連する製造記録)
  • 機器ラベルへの UDI 表示 → 21 CFR 801.20

4-2. その他の米国固有要求

  • 米国ラベリング:21 CFR 801(処方箋機器は109、IVD は 809)。CE マーク版とは別文書
  • 820.45(ラベリング・包装管理):出荷前の UDI/UPC・使用期限・保管/取扱い/追加処理指示の正確性確認、および混同防止のための使用前検査とその記録。条文が「medical device file に規定されたとおりの正しいラベリングであること」を確認せよという構造のため、
MDF 側にラベリング仕様が特定できる形で入っている必要があります。
  • 820.35(a)(1)〜(7):苦情記録の指定項目(機器名/受領日/識別情報/申立人連絡先/苦情の性質と詳細/是正処置/回答)
  • 820.35(b)(1)〜(6):サービス記録の指定項目(機器名/識別情報/実施日/実施者/内容/試験・検査データ)
  • 市販前区分の証跡:510(k)/De Novo/PMA 番号、SE レター、Product Code、施設登録・機器リスト
  • 関連規則への接続:MDR 報告(Part 803、820.10(b)(3))、回収・改修(Part 806、§820.10(b)(4))、トラッキング(Part 821、§820.10(b)(2))

5. 逆に、EU 固有で MDF には不要なもの

GSPR チェックリスト、CER、PMS 計画/PSUR、SSCP、EU 適合宣言書、Basic UDI-DI、EU 代理人情報など。 残しておいても違反ではありませんが、MDF に綴じ込むと「自社が定めた文書」として査察対象になり、版管理義務が生じます。索引上で「US MDF 対象外」と区分しておくのが安全です。

6. 推奨する実装(新規作成を最小化する方法)

機種または機種ファミリごとに「MDF インデックス(1枚の参照表)」を作る方式をお勧めします。
  • = ISO 13485 4.2.3 (a)〜(f) + QMSR 補足要求(UDI、米国ラベリング、820.45、市販前区分)
  • = 参照先文書番号/版/保管場所(EU 技術文書のセクション番号でも可)
  • 本体には内容を転記せず、すべて参照で済ませる
これなら欧州技術文書は一切書き直さず、追加作成は「インデックス1枚+米国固有文書数点」だけで済みます。しかも参照方式は版ズレが起きないため、EU 技術文書を改訂しても MDF 側の再発行が不要という実務メリットがあります(転記方式では必ず二重管理になります)。

6-1. 運用上の注意点2つ

  • 参照先が文書管理下(2.4)にあり、査察官の要求に即座に提示できること。 FDA はファイルの名称も形式も規定していませんが、「MDF を見せてください」に数分で応じられるかは見られます。
  • MDF は現に製造している現物と一致していること。 EU 技術文書は申請サイクルに合わせた改訂頻度になりがちですが、MDF は現行の製造実態を反映していなければなりません。この点でも参照方式(常に最新版を指す)が有利です。

6-2. 呼称について

社内での呼称を「DMR」のまま残すことは問題ありません。FDA は名称を規定していないため、中身が 4.2.3 を満たしていれば呼び方は自由です。ただし将来、旧 21 CFR Part 820 を知らない担当者が入ることを考えると、SOP 上で「DMR=ISO 13485 4.2.3 の医療機器ファイル」と定義を明記しておくことをお勧めします。

7. 出典

本資料は 2026年8月10日時点の公開情報に基づく整理であり、法的助言ではありません。個別機種への適用にあたっては、該当する市販前区分・クラス分類を踏まえたご検討をお願いいたします。
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