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エグゼクティブサマリー
特定保守管理医療機器(クラス2)の認証医療機器における改良は、変更内容の程度により3段階の手続きが規定されています。ご認識の通り、認証基準から逸脱する改良の場合は別品目として承認申請が必要となります。保険適用については、改良内容により継続・再申請・新規申請のいずれかとなります。I. 改良の許容範囲と必要手続き
1. 法的枠組み
改良に伴う手続きは、以下の通知により規定されています: 主要通知- 平成29年7月31日 薬生機審発0731第5号「医療機器の一部変更に伴う軽微変更手続き等の取扱いについて」
- 令和2年12月9日 薬生機審発1209第1号「改良に伴い認証基準に適合しないものとなる医療機器に係る製造販売承認申請の取扱いについて」
2. 手続きの3区分
| 区分 | 対象となる変更 | 手続き | 処理期間目安 |
| 新規承認申請 | 認証基準から逸脱する変更 | 別品目として承認申請 | 6ヶ月~ |
| 一部変更認証申請 | 品質・有効性・安全性に影響する変更 | 様式第65による申請 | 12~21日 |
| 軽微変更届出 | 影響が軽微な変更 | 様式第66による届出 | 7日程度 |
| 手続き不要 | 認証事項に含まれない変更 | なし | - |
3. 判断基準の詳細
(1) 一部変更認証申請が必要な変更
以下のいずれかに該当する場合:- 既存リスクを増大させる、または新たなリスクを生じさせる変更であって、人の生命・健康に与える影響が明らかに軽微とは言えないもの
- 変更による影響が十分に推定できないもの
- 製品の同一性が損なわれる可能性のある形状・構造の変更
- 設計部門の主体変更
- 主たる組立て製造所の変更
- 認証基準で規定された性能・仕様からの逸脱
(2) 軽微変更届出で対応可能な変更
通知別紙1に例示されている変更(一部抜粋):- 構造・機能等の変更を伴わない構成品の名称変更
- 製品の品質等に影響を与えない製造方法の変更
- 原材料の供給者の変更(規格は同一)
- 使用目的・効能効果の表現の明確化(実質的変更なし)
- 使用方法の記載整備(実質的変更なし)
(3) 認証基準から逸脱する場合
新規承認申請(別品目)が必要となります。この場合:- 一般的名称、クラス分類の見直しが必要な場合がある
- 臨床評価資料の追加が求められる可能性がある
- QMS適合性調査が必要
II. 重要な実務上の注意事項
1. 事前確認カテゴリーの活用
軽微変更届の対象となる蓋然性が高いものの、例外的に一部変更認証が必要な場合があるものについて、事前確認制度が設けられています。PMDA医療機器変更届出事前確認簡易相談
| 項目 | 内容 |
| 対象 | 通知別紙2記載の「事前確認カテゴリー」該当変更 |
| 手数料 | 79,800円 |
| 回答期間 | 申込受付日から2週間を目途 |
| 申込先 | PMDA審査業務部業務第二課 |
| 相談窓口 | 0120-118-991 |
2. 複数変更の取扱原則
- 複数の変更内容がある場合、それぞれについて検討
- 一つの変更で複数項目に影響が及ぶ場合も個別検討
- 結果が異なる場合は、より重い対応を選択(一変>軽変>手続き不要)
3. リスクマネジメントの実施
ISO 14971に基づくリスクマネジメントの実施が必須:- 変更によるリスクの特定
- リスク評価(発生確率×重大性)
- リスク低減措置の検討
- 残留リスクの受容性判断
4. QMS省令第36条の遵守
変更管理において以下を実施:- 変更の識別と文書化
- 変更内容の明確な記述
- 変更理由の記録
- 変更前の照査・検証・バリデーション
- 技術的妥当性の評価
- 必要に応じた試験の実施
- 影響評価
- 既出荷製品への影響
- 構成部品・工程内製品への影響
- 関連文書(添付文書、取扱説明書等)への影響
- 変更の承認
- 適切な権限者による承認
- 承認記録の保管
III. 保険適用への影響と対応
1. 法的枠組み
保険適用は以下の通知により規定されています: 令和6年2月14日付け 産情発0214第5号、保発0214第4号「医療機器の保険適用等に関する取扱いについて」2. 改良内容別の保険適用対応
(1) 軽微変更届出の場合
原則: 既存の保険適用が継続 例外: 以下の変更がある場合、保険適用希望書の再提出が必要- 販売名の変更
- 製品名・製品コードの変更
- 使用目的又は効果の変更
- 該当機能区分の変更
(2) 一部変更認証の場合
区分A3(既存技術・変更あり)またはB2(既存機能区分・変更あり)での保険適用希望書提出 対象:- 技術料に包括評価されるが、算定の留意事項等に変更を伴うもの
- 既存機能区分で評価されるが、機能区分の定義等に変更を伴うもの
(3) 認証基準から逸脱し新規承認が必要な場合
新規の保険適用申請が必要 該当区分:- C1(新機能):新たな機能区分が必要
- C2(新機能・新技術):新たな技術料設定が必要
- B3(期限付改良加算・暫定機能区分)
3. プログラム医療機器の特例
令和6年度改定により、プログラム医療機器については:- アップデート等により性能向上した場合
- 薬事上の「使用目的又は効果」や機能区分の変更がない場合でも
- 再度保険適用希望書を提出可能
IV. 実務的推奨事項とチェックリスト
1. 改良計画段階
□ 改良内容が認証基準内で実現可能か確認 □ 必要な手続き(一変/軽変/承認)を暫定判断 □ リスクマネジメントの実施計画策定 □ 保険適用への影響を事前評価2. 事前相談の実施
□ 判断に迷う場合は登録認証機関に相談 □ 必要に応じてPMDA事前確認簡易相談を活用 □ 保険適用への影響が大きい場合、厚生労働省保険局医療課に確認3. 変更管理の実施
□ QMS手順書に従った変更管理の実施 □ 変更管理記録の作成・保管 □ 設計開発ファイルの更新 □ 関連文書(添付文書等)の改訂4. 届出・申請の実施
□ 期限内の提出(軽微変更届は変更後30日以内) □ 必要書類の完備 □ 変更前後対照表の作成 □ 適合宣言書の作成(該当する場合)5. 保険適用手続き
□ 保険適用希望書提出の要否判断 □ 該当する決定区分の確認 □ 必要書類の準備 □ 提出時期の計画(製品上市計画との整合)V. よくある質問と回答
Q1: 原材料メーカーの変更は何の手続きが必要ですか? A1: 規格が同一であれば軽微変更届出で対応可能です。ただし、原材料の特定が認証事項に含まれる場合や、生物学的安全性に影響する場合は一部変更認証が必要になることがあります。 Q2: 複数の軽微変更を同時に届け出ることは可能ですか? A2: 可能です。ただし、変更日が異なる場合は変更日ごとに届書を作成する必要があります。 Q3: 一部変更認証申請中に軽微変更が発生した場合は? A3: 一部変更認証申請の内容に影響する場合は、申請の補正または取下げが必要です。影響しない場合は、認証取得後に軽微変更届を提出します。 Q4: 保険適用希望書はいつ提出すればよいですか? A4: 認証取得後、速やかに提出することが推奨されます。A1(包括)以外の区分は、毎月受付・審査が行われ、翌月または翌々月に保険適用となります。 Q5: 海外で改良された製品を国内導入する場合は? A5: 国内の認証基準への適合性を確認の上、必要な手続き(一変認証または新規承認)を実施します。海外での使用実績は参考資料として活用できます。VI. 参考資料
主要通知
- 薬生機審発0731第5号(平成29年7月31日)「医療機器の一部変更に伴う軽微変更手続き等の取扱いについて」
- 薬生機審発1209第1号(令和2年12月9日)「改良に伴い認証基準に適合しないものとなる医療機器に係る製造販売承認申請の取扱いについて」
- 産情発0214第5号、保発0214第4号(令和6年2月14日)「医療機器の保険適用等に関する取扱いについて」
相談窓口
- PMDA審査業務部相談窓口: 0120-118-991
- 厚生労働省保険局医療課: 03-5253-1111(代表)
- 登録認証機関: 各認証機関の窓口
ウェブサイト
- PMDA医療機器情報: https://www.pmda.go.jp/
- 厚生労働省保険医療材料制度: https://www.mhlw.go.jp/
VII. 結論
認証医療機器の改良においては、事前の十分な検討と適切な手続き選択が極めて重要です。 重要ポイント:- 認証基準からの逸脱は別品目(承認申請)が必要
- 品質・有効性・安全性への影響度で手続きを判断
- 判断に迷う場合は必ず事前相談を実施
- 保険適用への影響も同時に評価
- QMS省令に基づく適切な変更管理を実施