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令和7年3月10日付厚生労働省医薬局医療機器審査管理課事務連絡「一般医療機器『家庭用遠赤外線血行促進用衣』の取扱いに係る質疑応答集(Q&A)」における、QMS省令第7条の2に規定される製品標準書に関する「望ましい」という表現の解釈について
回答
1. 法的位置づけ
「望ましい」という表現は、法的義務ではなく推奨事項です。
- 事務連絡は行政通達の一種であり、直接的な法的拘束力を持ちません
- 最高裁判例(昭和43年)においても、通達は「一般の国民は直接これに拘束されるものではない」と判示されています
- 「〜しなければならない」という義務規定や「〜するよう努めなければならない」という努力義務規定とは異なり、より弱い推奨レベルの表現です
2. 実質的な対応の必要性
しかしながら、以下の理由により実質的には対応すべき事項と考えられます。
(1)QMS省令の要求事項との関係
- QMS省令第7条の2自体は「しなければならない」と規定された法的義務
- 製品標準書の適切な作成・管理のためには、関連文書の整備が実質的に必要
- 基本要件基準への適合性を示すための文書化は、制度運用上不可欠
(2)行政実務における取扱い
- QMS適合性調査において、製品標準書の内容や関連文書の整備状況が詳細に確認される
- 「望ましい」とされた事項への対応状況が評価対象となる可能性がある
- 合理的な理由なく実施していない場合、行政指導の対象となるリスク
(3)リスク管理の観点
- 製品に問題が生じた場合、業界標準や行政指導への対応状況が責任追及の判断要素となる可能性
- トレーサビリティの確保という品質管理上の必要性
- 医療機器の安全性・有効性確保という制度趣旨
3. 実務的な推奨対応
基本方針
「望ましい」とされた事項についても、原則として対応することを推奨します。
具体的な対応
- 文書化の実施
- 製造販売届書と対応する形での製品標準書の整備
- 基本要件基準への適合性を示す文書・記録の作成
- 自主基準への適合性を示す文書・記録の作成
- これらの文書と製品標準書との紐付けの明確化
- 管理体制の構築
- 関連文書の一元的な管理システムの構築
- 定期的な見直し・更新の仕組みづくり
- 変更管理プロセスの確立
- リスクベースアプローチ
- 企業規模や製品のリスクレベルに応じた対応レベルの設定
- 重要度の高い項目からの優先的な対応
- 段階的な実施計画の策定
4. 結論
「望ましい」という表現は法的義務ではありませんが、以下の理由から実質的な対応が必要です。
- QMS省令の要求事項を適切に満たすために実質的に必要
- 行政指導や監査でのリスク回避
- 医療機器の品質保証・安全性確保の観点
特に医療機器という人の健康に直接関わる製品を扱う事業者として、制度の趣旨を踏まえた積極的な対応を行うことが適切と考えられます。