文書管理の日付の相違について

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R.K
5月 23, 2025 01:29 PM 1 Answers 医療機器規制全般
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在、各国医療機器規制(米国21 CFR Part 820、MDR、国内等)への対応として、文書管理方法の見直しを進めております。
以下の点について、ご見解を伺いたく投稿いたします。
【背景】
文書管理システムを使用し、文書の作成・確認・承認を行っています。
システム上では、それぞれの段階で確認者・承認者の氏名および承認日が記録されるとともに、文書ファイル内にも作成者・確認者・承認者の氏名と日付が自動的に挿入されるようになっています。
【ご質問】
今回確認したいのは、文書作成時に文書内へ記載された作成日と、承認時にシステムが記録した日付との間に数日のズレ(例:10日以内程度)がある場合です。
このような日付の不一致が、規制や監査上(特に米国)で問題とされる可能性があるかどうか、ご意見をいただけますと幸いです。
あわせて、許容される日数の目安や、実務上の注意点があればご教示ください。

よろしくお願いいたします。

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ecompliance
5月 24, 2025
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ご質問の要点

文書管理システムにおいて、文書作成時に記載された作成日と承認時にシステムが記録した日付との間に数日のズレ(10日以内程度)がある場合の規制上の問題と対応策について

規制要件の正確な理解

FDA 21 CFR Part 820における明確な要件

確実に要求される事項

  • 21 CFR 820.40では、承認者の署名と日付を含む承認の文書化が明確に義務付けられています
  • 文書変更については、承認日付と変更が有効になる日時の記録が必要です
  • 文書管理システムの整合性と信頼性が品質システムの重要な要素として位置づけられています

重要な注意点: FDA規制では、文書作成日と承認日の具体的な許容差異日数は明文化されていません。

EU MDRにおける要件

  • Annex IIにて技術文書について「明確で組織化され、容易に検索可能で曖昧でない方法で提示」することが要求
  • 文書の完全性と追跡可能性が重視されています
  • ただし、FDA同様に具体的な日付差異の許容範囲は明示されていません

国内規制(QMS省令等)

  • 文書管理における承認プロセスと記録の要求は国際基準と整合
  • 具体的な許容日数についての明文規定は確認されていません

監査・査察における実際のリスク

確認されている監査所見

FDAの査察実績より

  • 「不適切な研究記録および/または元文書とCRFの不一致」が一般的な監査所見として報告
  • バックデートによるデータ入力が重大な逸脱として指摘された事例
  • 文書管理システムの信頼性に疑問を持たれた場合の追加調査

リスク評価の考え方

日付の不一致が問題となる可能性が高いケース

  • 文書の有効性や版管理に直接影響する場合
  • 是正措置や変更管理のタイムラインに関わる重要文書
  • 監査官が文書管理プロセス全体の信頼性に疑問を持った場合
  • 説明できない理由による長期間の差異

実務的な対応戦略

根拠に基づく管理方針

規制に明確な基準がない以上、以下のアプローチが推奨されます

1. 明確な定義の確立

  • 文書内記載日:作成開始日または最終更新日
  • システム記録日:各承認段階での実際の承認日
  • 両者の関係性と意味の明文化

2. 合理的な管理基準の設定 業界実務を参考とした目安(ただし規制要件ではない)

  • 3~5営業日以内:一般的に説明可能な範囲
  • 7~10日:詳細な記録と説明が必要
  • それ以上:システム改善が強く推奨される

3. 説明責任体制の構築

  • 日付差異が発生する理由の明確な文書化
  • 文書の完全性への影響がないことの証明
  • 継続的なモニタリングと改善のプロセス

システム改善の方向性

推奨される技術的対応

  • 文書内日付の承認完了時自動更新機能の導入
  • 日付差異の自動検出と報告機能
  • 承認プロセスの各段階でのタイムスタンプ記録強化

管理的対応

  • 内部監査における定期的な日付差異のモニタリング
  • 傾向分析による予防的改善策の実施
  • 監査対応のための説明資料の準備

監査対応における重要ポイント

査察官への説明準備

  1. プロセスの透明性
    • 文書管理手順の明確な説明
    • 日付記録の仕組みと意図の説明
    • システムの信頼性を示すデータの提示
  2. 継続的改善の姿勢
    • 問題認識と改善取り組みの実績
    • 定期的な見直しとアップデートの記録
    • 品質システム全体の中での位置づけ

文書化すべき事項

  • 文書管理SOPにおける日付管理の詳細手順
  • 差異発生時の調査・記録・対応プロセス
  • 定期的な監視結果と改善実績
  • 外部監査での指摘事項と対応状況

結論と推奨事項

基本的な考え方

文書作成日と承認日の数日程度の差異について、規制上明確な禁止事項ではありませんが、文書管理システムの信頼性を示すために適切な管理が必要です。

最重要事項

  1. 説明可能性の確保:日付不一致の理由を明確に説明できること
  2. 完全性の保証:文書の有効性や品質に影響しないことの証明
  3. 継続的改善:問題を認識し、システム改善に取り組む姿勢

実践的な対応手順

  1. 現状の日付差異パターンの分析と記録
  2. 合理的な管理基準の設定と文書化
  3. システム改善による自動化の検討
  4. 内部監査プロセスへの組み込み
  5. 外部監査対応資料の準備

規制遵守の観点から最も重要なのは、日付の完全一致よりも、透明性のある管理プロセスと継続的改善の取り組みを示すことです。

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