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品質管理とは

https://qmsdoc.com/product/md-qms-358/
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品質管理とは

前回解説したとおり、品質管理とは「顧客の要求に合った品質の品物またはサービスを経済的に作り出すための手段の体系」のことである。
つまり、顧客に提供する品物やサービスが顧客の要求する品質(Quality)、価格(Cost)、納期(Delivery)になっていることを管理する訳である。
品物やサービスなどを各職場や部署で他社より安く早く効率よく提供できることが重要である。
それらを行うために、固有技術だけではなく統計を利用した管理技術を全社的に実施することも必要となる。

品質管理(QC)、品質保証(QA)、監査(Audit)はそれぞれ違う

本来、品質保証は当該部門が自ら実施すべきである。他部門や他者が当該部門に成代わって品質を保証するということはあり得ない。
品質管理(QC)と品質保証(QA)と監査(Audit)を混同している事例が多い。

QCは、自ら品質を管理(Control)する活動である。
またQAは、当該プロセスに深く関与し、品質を第三者的に保証(Assureance)しながら業務を継続することである。QA 担当者は、当該業務の経験者であり、当該業務を熟知している必要がある。当該プロセスに対して、QA 担当者というエキスパートが、第三者的に指導や助言を行いながら、その成果物等に対して品質の保証(お墨付き)を与えるものである。
第三者的である理由は、事象を客観的に判断し、当該実施担当者と慣れ合いになるなど適切さを欠くことがあってはならないからである。
QA 担当者は、別部門である必要はなく、当該部門に所属していても一向に構わない。
またQA 担当者は、顧客や規制当局に対する説明責任を負う。したがって必然的に厳しい目でプロセスに監視監督することになる。

一方、監査とは、独立した部門が定期的または不定期にプロセスや成果物を抜き取りで調査することである。すなわち監査は事後である。
品質保証とは、監査のことであるといった誤解は解かなければならない。
しばしば、監査が完了すると品質保証が完全になったと誤解する人がいる。それでも苦情があった際には、まるで他人事のように監査の責任だと主張するのである。
監査は品質保証活動の一つではあるが、すべてではないことに注意が必要である。 なお、品質保証部門も被監査部門であることに留意しなければならない。

QC」とは何か

QCはQuality Controlの略である。では、読者諸氏の会社におけるQCでは、本当にControlしているだろうか。Checkばかりを繰り返していないだろうか。もし、QCがチェック活動であるならば、Quality Checkとなるはずである。

では、一体Controlとは何であろうか。
Controlとは、標準からずれそうになった(ずれた)プロセスを標準に戻す活動のことである。

例えば、野球でピッチャーは、ストライクゾーンにめがけて、投球をコントロールする。同様にQCは、品質のストライクゾーンにめがけて、プロセスをコントロールするのである。
では、品質の標準(ストライクゾーン)は、どこに記載されているかというと、標準業務手順書(SOP)である。

QC事例1

ある外注業者に1,000個のデータ入力を依頼したとしよう。その際に、契約において受入れ試験で0.3%のエラーまでなら許容し、検収合格と「約束」した。しかしながら、検収においてチェックを始めてみると、1個、2個、3個、4個…とエラーが見つかった。この場合、0.3%のエラーを超えたので、受領できないため、当該業者に差し戻すことになる。
その際に、「品質が悪い(顧客の要求を満たしていない)ため、品質保証を再度実施してから再納品すること。」と告げるだろう。

大切なことは、どこにエラーがあったかを教えてはならない。また、何個エラーがあったかも教えてはならない。どこにエラーがあったかを教えると、当該業者は当該エラーのみを修正して再度納品するだろう。何個エラーがあったかを教えると、当該個数分のエラー修正で再度納品するだろう。
一般に、後段のプロセスで修正を行うとデータの品質が上がらないというジレンマに陥るのである。

QC事例2

あるクッキーの工場で、製造指図書に170℃ ±5℃で焼くこととの記載があるとしよう。
製造担当者は、175℃を超えそうになるとバーナーの火力を下げるだろう。また165℃を下回ろうとすると火力を上げるだろう。なぜなら、175℃を超えると焦げるし、165℃を下回ると半生になるからである。 製造指図書に記載の通り、170℃ ±5℃で焼くと、あらかじめ定めておいた仕様と品質の通り、おいしいクッキーが焼きあがるのである。

SOP」とは何か

SOPは「Standard Operation Procedure」の略で、標準業務手順書のことである。
ここで、「標準」とは野球で言うところのストライクゾーンのことである。

日本ではしばしば、SOP違反や逸脱を嫌い、SOPを変更することが見受けられる。しかしながらストライクゾーンがしばしば変更になるということは如何なものであろうか。SOPは安易に変更してはならない。もし、ストライクゾーンが日々変わるとすれば、昨日までの品質管理、品質保証は意味をなさないではないか。

また、SOPに例外事項を含め、あらゆることを記載しようとする傾向が見られる。しかしながら、ストライクゾーンを際限なく広げてしまえば、どこへ球を投げてもストライクになってしまう。つまり、コントロールができないことになってしまうのである。
もしSOPに例外等を含めて何でも書いたら、それは標準ではなく、ただの“OP”である。

正しい例外処理の方法

しかしながら、物事には例外が付き物である。では、もし例外処理が必要となった場合、どのように対応することが正しいであろうか。
正しい例外処理の方法は、例えば、あらかじめ計画書等に、なぜSOPを遵守できないか、その理由を記載し、第三者であるQA担当者のレビュと合意を受けるのである。

その場合の理由のことをJustification(正当化できる根拠)と呼ぶ。 QA担当者がJustificationに合意し、お墨付きを与えた上で、責任者が計画を承認することが必要である。

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