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医療機器の修理においては、QMS省令及びGQP省令に基づく品質管理体制の下で、適切な検査の実施と出荷判定を行うことが求められます。特に、修理が承認・認証の範囲内であることの確認と、修理後の製品が本来の性能・安全性を維持していることの検証が重要です。
1. 検査方法に関する要求事項
QMS省令(医療機器等の製造管理及び品質管理の基準に関する省令)に基づく要求
第58条(製品の監視測定)
- 製品要求事項への適合性を実証するため、製品の特性を監視・測定することが必要です
- 修理後の製品についても、承認・認証された仕様への適合性確認が求められます
第58条第4項(製品のリリース)
- 計画した検証が完了するまで、製品のリリース及びサービス提供を行ってはなりません
- 全ての必要な検査・試験が完了し、合格していることの確認が必要です
検査の実施内容
修理内容に応じて、以下の検査が必要となります:
- 修理した構成品単体の機能検査
- 構成品を全て接続した状態でのシステム全体の機能検査
- 安全性に関する検査(電気的安全性、機械的安全性等)
- 承認・認証書に記載された性能・仕様への適合性確認
2. 製造工程のバリデーション
第45条(製造工程等のバリデーション)
以下の条件に該当する場合、修理プロセスのバリデーションが必要です:
- 実施した製造及びサービス提供工程について、それ以降の監視・測定では検証できない場合
- 修理結果の妥当性が、製品の使用後でなければ判明しない場合
3. 製造所出荷判定
QMS省令に基づく出荷判定
- 製造管理者または品質保証責任者による出荷可否の判定が必要
- 検査結果、製造記録等を確認し、規定要求事項への適合を確認
- 出荷判定記録の作成と保管が必須
4. 市場出荷判定
GQP省令第9条(市場への出荷の管理)
- 品質保証体制の確保
- 製造管理及び品質管理の結果が適正に評価され、市場への出荷の可否の決定が適正かつ円滑に行われることを確保
- 出荷可否の決定
- 品質保証部門のあらかじめ指定した者が実施
- ロットごとに出荷可否を決定
- 出荷判定記録の作成が必要
- 判定基準
- 製造所からの出荷判定結果の確認
- 承認・認証内容との整合性確認
- 品質に関する情報の評価
5. 製造業者の自社製品修理に関する特例
医薬品医療機器等法施行令第56条
- 医療機器製造業者が自ら製造する医療機器を修理する場合、修理業の許可は不要です
- ただし、以下の製造業者は除外されます:
- 設計のみを行う製造業者
- 最終製品の保管のみを行う製造業者
6. 修理の範囲と改造の区別
修理の定義
- 故障、破損、劣化等の箇所を本来の状態・機能に復帰させること
- 承認・認証された仕様の範囲内での作業
改造に該当する場合
以下の場合は修理の範囲を超え、新たな承認・認証が必要となる可能性があります:
- 医療機器の仕様変更を伴う作業
- 性能・機能の向上を目的とした変更
- 承認・認証書に記載のない部品への交換
7. 記録の保管要求
保管すべき記録
- 修理作業記録(作業内容、使用部品、作業者等)
- 検査・試験記録(検査項目、結果、判定等)
- 製造所出荷判定記録
- 市場出荷判定記録
保管期間
- 製品の有効期間+1年以上(管理医療機器の場合)
- 特定保守管理医療機器の場合は、さらに長期の保管が必要な場合があります
8. 実施上の留意点
- 手順書の整備
- 修理作業手順書
- 検査・試験手順書
- 出荷判定基準書
- 教育訓練
- 修理作業者への教育訓練の実施と記録
- 検査員の力量評価
- 変更管理
- 修理方法や検査方法を変更する場合の変更管理手順の確立
- 必要に応じた妥当性確認の実施
- 不適合品管理
- 修理後の検査で不適合となった場合の処理手順
- 是正処置・予防処置の実施