国内品質業務運営責任者の「責任者」要件について
ご質問への回答
貴社の認識は正しいと考えられます。 「責任者」とは、品質保証部門を統括し、意思決定権限を持つ立場(例:部門長、課長等)を指すという解釈が適切です。
法的根拠
QMS省令第72条第1項の要件
国内品質業務運営責任者には以下4つの要件が定められています。
- 製造販売業者における品質保証部門の責任者であること
- 品質管理業務その他これに類する業務に3年以上従事した者であること
- 国内の品質管理業務を適正かつ円滑に遂行しうる能力を有する者であること
- 医療機器等の販売に係る部門に属する者でないことその他国内の品質管理業務の適正かつ円滑な遂行に支障を及ぼすおそれがない者であること
「品質保証部門の責任者」の解釈
QMS省令逐条解説によると、
「品質保証部門」とは、品質管理業務の統括を行う部門の設置を求めているものであり、省令の要求事項を満たす場合は、名称が必ずしも「品質保証部門」という名称である必要はないこと。名称については、各企業が適切に定めてよいが、品質管理業務の統括を行う部門がどこであるかについては、明確でなければならない。
ご質問のケースへの判断
現状の問題点
- 係長の役職にはついているが「部門を統括している立場ではない」
- 品質保証の業務経験は3年以上ある(要件2は満たす)
- しかし、要件1の「品質保証部門の責任者」を満たしていない可能性
「責任者」の要件で重要な点
- 品質管理業務の統括機能を有すること
- 意思決定権限を持つ立場にあること
- 役職名(係長、課長等)よりも実質的な統括責任が重要
結論と推奨事項
判断
現在の係長の方が「部門を統括している立場ではない」状況では、QMS省令第72条第1項第1号の要件を満たしていないと判断されます。
対応策の検討
- 組織体制の見直し
- 該当者に品質保証部門を統括する実質的な責任と権限を付与
- 組織図上での位置づけの明確化
- 権限の再配分
- 品質管理業務に関する意思決定権限の付与
- 部門内の業務統括責任の明確化
- 代替案の検討
- 要件を満たす他の適任者の任命
- 現在の品質保証部門長等への任命
重要なポイント
国内品質業務運営責任者の任命において、経験年数だけでなく、現在の組織上の地位と権限が法的要件を満たしているかを慎重に検討することが重要です。規制当局による調査時に、実質的な責任と権限を有していないと判断された場合、法令違反となる可能性があります。