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FDAのQuality System Regulation (QSR)(21 CFR Part 820)では、「初期流動の確認」という具体的な活動は明示的な要求事項とはなっていません。ただし、この活動は、設計および製造プロセスのリスクを低減し、製品品質を保証するための重要なステップであり、QSRの要件に関連するいくつかの重要な要素と密接に関連しています。
初期流動の確認の意義
初期流動の確認は、設計から製造への移行時にプロセスの実行可能性を評価し、潜在的なリスクを特定・是正する活動です。これにより、設計の意図が確実に製品化され、製造中の不良や問題発生の可能性を低減することができます。
QSRにおける初期流動の確認との関連
初期流動の確認は、QSRにおける以下の規定に該当する可能性があります。
- 設計検証 (Design Verification)
- 製品が設計入力要件を満たしていることを確認するプロセス。
- 初期流動の確認は、実際の製造プロセスを通じて製品が意図したとおりに動作するかを検証する活動として設計検証に含まれることがあります。
- 設計バリデーション (Design Validation)
- 製品が使用環境下でユーザーのニーズや意図した用途に適合することを確認するプロセス。
- 初期流動の確認は、設計バリデーションの一環として、限られたロットまたは初期生産品を使用して実施される場合があります。
- 製造プロセスのバリデーション (Process Validation)
- 安定した製造プロセスを確立し、製品が一貫して規定された仕様を満たすことを保証するためのバリデーション。
- 初期流動の確認は、製造プロセスのバリデーションまたはパイロット生産の一環として位置づけられる場合があります。
(参考:21 CFR 820.30、820.75)
初期流動の確認の省略可否の検討
QSRでは初期流動の確認自体を明示的に要求しているわけではないため、理論的には設計開発手順から外すことは可能です。ただし、以下の点を慎重に検討する必要があります。
- リスク評価の観点
- 製品の特性や複雑さに応じたリスク評価
- 製造プロセスの成熟度
- 市場での要求事項や期待
- 代替手段の妥当性
- 設計バリデーションやプロセスバリデーションでの代替可能性
- 既存の品質管理プロセスの十分性
- 変更管理の実施
- 手順書の改訂
- 関係者への周知と教育
- 変更の有効性評価
推奨事項
初期流動の確認を省略する場合でも、以下の対応を推奨します:
- 判断の根拠と経緯の文書化
- 代替手段の確実な実施
- 変更後のモニタリング計画の策定
- 定期的な見直しの実施