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1. 法的根拠と基本要件
薬機法関連規制
- 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律 第68条の2の5
- 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行規則 第228条の10の10
- 「医療機器、体外診断用医薬品等を特定するための符号の容器への表示等について」
(令和4年9月13日付け医政産情企発0913第2号、薬生安発0913第2号) - 「医療機器等へのバーコード表示の実施について」
(平成20年3月28日付け医政経発第0328001号)
2. 本体と構成品の識別表示
基本原則
| 対象 | 識別表示要件 |
| 本体(主たる医療機器) | UDI-DI(機器識別子) + UDI-PI(製造識別子)の表示が必要 |
| 個別使用される構成品 | 単独で流通・使用される場合は個別の識別表示が必要 |
| セット構成品 | 設置管理医療機器等の大型医療機器において、設置前の個別構成品には特定用符号表示不要。ただし、構成品が単体で医療機器に該当する場合は特定用符号を表示する必要がある(Q&A Q29) |
注意点
- 構成品が単独で交換・追加購入される可能性がある場合は、構成品ごとに独立した製品として識別表示が必要
- 承認・認証・届出の扱い(単品承認か、セット承認か)により要件が異なる
3. 個装箱への特定符号表示(GS1-128)
GS1-128のアプリケーション識別子(AI)
| AI | 項目 | 形式 | 要否 |
| (01) | GTIN | 14桁固定長 | 必須 |
| (17) | 有効期限 | YYMMDD形式 | 該当する場合必須 |
| (10) | ロット番号 | 最大20桁可変長 | 任意 |
| (21) | シリアル番号 | 最大20桁可変長 | 任意 |
重要: 製造識別子(AI 10, 21等)の表示は任意です(Q&A A20)。ただし、トレーサビリティや製品管理の観点から表示を推奨します。
日付表示の注意事項(2025年1月以降)
国内で流通する製品については、有効期限が年月のみの場合、日にちデータ領域へ「00」または「月末日」の使用が引き続き認められています。
4. 複数個装箱に分ける場合の対応
ケース1: 本体と構成品を別個装箱で出荷し、各々が単独流通する場合
要件:
- 各個装箱に独立した特定用符号表示が必須
表示内容:
- 本体箱: 本体のGTIN + 有効期限(該当する場合) + ロット/製造番号(任意)
- 構成品箱: 構成品のGTIN + 有効期限(該当する場合) + ロット/製造番号(任意)
ケース2: セット品として複数箱で出荷する場合
Q&A A20に基づく2つの方法:
方法1: 各医療機器に個別に特定用符号を表示
- 各個装箱にそれぞれの医療機器の特定用符号を表示
- 各医療機器が独立してトレース可能
方法2: セット専用ケースに新たな特定用符号を表示
- セット全体を示す新たなGTINを付与
- ただし、セットに含まれる各医療機器とセットのGTINとの紐付けを製造販売業者が管理する必要がある
- トレーサビリティ確保のため、紐付け管理の仕組みが必須
いずれの方法においても、製造識別子の表示は任意です。
5. 実務上の注意事項
(1) 流通管理の観点
- セットに含まれる各医療機器を単独で流通させる場合は、特定用符号通知に従い、当該医療機器の容器等へ特定用符号を表示する必要がある(Q&A A20)
- 本体と構成品で使用期限が異なる場合は、各々に有効期限を表示
- 個装箱が分離して流通する可能性がある場合、各箱が独立してトレース可能であることが重要
(2) GS1-128バーコード設計
- AI(01)のGTINは必須
- AI(17)有効期限は期限管理が必要な場合必須
- AI(10)、AI(21)は任意だが、より厳格な管理が求められる製品では表示を推奨
- GS1 DataMatrix(2次元コード)の併用も検討(スペース制約がある場合有効)
- バーコードの配置は医療機関での使い勝手を考慮
(3) 添付文書・承認書との整合性
✓ 各構成品の識別情報が添付文書・IFUに適切に記載されているか確認
✓ 製造販売承認書の構成品記載と実際の個装が一致していることを確認
✓ 複数箱に分かれる旨の情報も記載推奨
✓ 必要に応じて軽微変更・一変の要否を判断
6. データベース登録(推奨事項)
登録先
一般財団法人医療情報システム開発センター(MEDIS-DC)の医療機器データベース
https://www.kikidb.jp/
登録の性質
医療機器データベースへの登録は法に基づく対応ではありませんが、以下の観点から登録を推奨します(Q&A A41)。
- ✓ 患者を含めた使用者の安全確保、及び医療の質の向上につながるトレーサビリティの確保
- ✓ 物流の効率化・高度化
- ✓ 医療事務の効率化
登録内容
- 本体と個別構成品それぞれのUDI-DI
- 親子関係(パッケージ階層)の情報も可能な限り登録
7. 相談先
UDI表示や特定用符号に関する質問は、以下で対応可能です。
| 相談先 | 内容 |
| 厚生労働省の質疑応答集(Q&A) | https://www.mhlw.go.jp/content/11120000/000989350.pdf |
| 各都道府県薬務主管課 | 個別の製品に関する相談 |
| 業界団体 | 日本医療機器産業連合会(JFMDA)等 |
8. その他の推奨事項
GS1標準への準拠
- GS1 General Specificationsの最新版に準拠
- ヘルスケア分野のアプリケーション標準を参照
- GS1の医療機器UDIガイドを活用
医療機関での運用を考慮
- 院内物流・在庫管理での使い勝手を考慮したバーコード配置
- 開封後も識別可能な表示設計
- スキャンしやすい位置・サイズの考慮
まとめ
複数構成品・複数個装箱の医療機器においては、以下の点を総合的に勘案して適切な識別表示方法を決定する必要があります。
- 製品の特性(単独流通の可能性、構成品の医療機器該当性)
- 承認形態(単品承認、セット承認)
- 流通形態(一体出荷、分離出荷)
- トレーサビリティ要件(紐付け管理の必要性)
各企業の製品特性に応じて、法令要件を満たしつつ、実務上の運用性とトレーサビリティを両立させる表示方法を選択することが重要です。
参考資料
- 厚生労働省「医療機器、体外診断用医薬品等を特定するための符号の容器への表示等に関するQ&A」
- GS1 Japan「医療機器UDI運用ガイドライン」
- MEDIS-DC「医療機器データベース登録ガイド」