USBを使用したデータの取扱

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YY
3月 14, 2025 08:50 AM 1 Answers データインテグリティ
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医薬品の試験検査において、分析機器から測定データをUSBに保存し、別の解析用PCにて解析を行うことについてALCOA+からの懸念事項や問題点と具体的な対応策はあるのでしょうか?ご教示をお願いします。

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ecompliance
3月 14, 2025
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ALCOA+ からの懸念事項・問題点

医薬品試験検査での USB データ転送に関する ALCOA+ の観点からの懸念事項と対応策について説明いたします。

  1. Attributable(帰属性)
    • USB 経由での転送時にデータの出所や責任者が不明確になる可能性
    • 誰がいつデータを転送したかの記録が残りにくい
  2. Legible(判読性)
    • データ形式の互換性の問題
    • 解析 PC での読み取りエラーの可能性
  3. Contemporaneous(同時性)
    • データ転送のタイムラグにより、測定と記録の同時性が損なわれる可能性
  4. Original(原本性)
    • 転送過程でのデータ改変リスク
    • 元データと転送データの一致性確認の難しさ
  5. Accurate(正確性)
    • 転送過程でのデータ欠損や破損のリスク
    • 解析 PC での処理による数値の変化可能性
  6. Complete(完全性)
    • 一部データのみの選択的転送による不完全性のリスク
    • メタデータ(測定条件など)の欠落可能性
  7. Consistent(一貫性)
    • 異なる PC 環境での処理による結果の一貫性への影響
    • バージョンの異なるソフトウェアによる解析結果の差異
  8. Enduring(永続性)
    • USB の紛失・破損リスク
    • 長期的なデータ保存の不確実性
  9. Available(利用可能性)
    • 監査時のデータトレーサビリティの確保の難しさ

具体的な対応策

  1. 手順書の整備
    • データ転送・解析のための標準操作手順書(SOP)を作成
    • 責任者・実施者・確認者の役割を明確に規定
  2. USB 管理システムの構築
    • 専用 USB の使用(一般の USB との区別)
    • USB 管理台帳による使用記録(誰が、いつ、どの目的で)
    • USB へのシリアル番号付与
  3. データ転送の記録
    • 転送作業記録シートの作成と記入
    • 転送日時・担当者・ファイル名・ハッシュ値の記録
    • 転送作業の第三者確認(ダブルチェック)
  4. データ完全性の確保
    • チェックサム/ハッシュ値による転送前後のデータ一致性確認
    • 転送前後のファイルサイズ・タイムスタンプ確認
  5. アクセス制限
    • 解析用 PC へのアクセス権限管理
    • ユーザー認証とパスワード管理の徹底
  6. 監査証跡の確保
    • 解析ソフトウェアの監査証跡(Audit Trail)機能の活用
    • データ変更履歴の自動記録
  7. バリデーション
    • データ転送プロセスのバリデーション実施
    • 解析ソフトウェアのバリデーション
  8. バックアップ体制
    • 分析機器側での原データの保持
    • データの定期的バックアップ
  9. システム統合の検討
    • 長期的には分析機器と解析 PC を直接ネットワーク接続するシステム構築
    • データ管理システム(LIMS)の導入検討

これらの対策を適切に実施することで、USB を介したデータ転送においても ALCOA+ 原則に則ったデータインテグリティを確保することが可能になります。特に重要なのは、転送プロセスの文書化、データの一致性確認、アクセス管理、監査証跡の確保です。

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