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ALCOA+ からの懸念事項・問題点
医薬品試験検査での USB データ転送に関する ALCOA+ の観点からの懸念事項と対応策について説明いたします。
- Attributable(帰属性)
- USB 経由での転送時にデータの出所や責任者が不明確になる可能性
- 誰がいつデータを転送したかの記録が残りにくい
- Legible(判読性)
- データ形式の互換性の問題
- 解析 PC での読み取りエラーの可能性
- Contemporaneous(同時性)
- データ転送のタイムラグにより、測定と記録の同時性が損なわれる可能性
- Original(原本性)
- 転送過程でのデータ改変リスク
- 元データと転送データの一致性確認の難しさ
- Accurate(正確性)
- 転送過程でのデータ欠損や破損のリスク
- 解析 PC での処理による数値の変化可能性
- Complete(完全性)
- 一部データのみの選択的転送による不完全性のリスク
- メタデータ(測定条件など)の欠落可能性
- Consistent(一貫性)
- 異なる PC 環境での処理による結果の一貫性への影響
- バージョンの異なるソフトウェアによる解析結果の差異
- Enduring(永続性)
- USB の紛失・破損リスク
- 長期的なデータ保存の不確実性
- Available(利用可能性)
- 監査時のデータトレーサビリティの確保の難しさ
具体的な対応策
- 手順書の整備
- データ転送・解析のための標準操作手順書(SOP)を作成
- 責任者・実施者・確認者の役割を明確に規定
- USB 管理システムの構築
- 専用 USB の使用(一般の USB との区別)
- USB 管理台帳による使用記録(誰が、いつ、どの目的で)
- USB へのシリアル番号付与
- データ転送の記録
- 転送作業記録シートの作成と記入
- 転送日時・担当者・ファイル名・ハッシュ値の記録
- 転送作業の第三者確認(ダブルチェック)
- データ完全性の確保
- チェックサム/ハッシュ値による転送前後のデータ一致性確認
- 転送前後のファイルサイズ・タイムスタンプ確認
- アクセス制限
- 解析用 PC へのアクセス権限管理
- ユーザー認証とパスワード管理の徹底
- 監査証跡の確保
- 解析ソフトウェアの監査証跡(Audit Trail)機能の活用
- データ変更履歴の自動記録
- バリデーション
- データ転送プロセスのバリデーション実施
- 解析ソフトウェアのバリデーション
- バックアップ体制
- 分析機器側での原データの保持
- データの定期的バックアップ
- システム統合の検討
- 長期的には分析機器と解析 PC を直接ネットワーク接続するシステム構築
- データ管理システム(LIMS)の導入検討
これらの対策を適切に実施することで、USB を介したデータ転送においても ALCOA+ 原則に則ったデータインテグリティを確保することが可能になります。特に重要なのは、転送プロセスの文書化、データの一致性確認、アクセス管理、監査証跡の確保です。