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QMSシステム構築について – お役立ち情報

QMSシステム構築について

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sugawara
12月 29, 2025 12:49 PM 1 Answers 医療機器規制全般
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現在、当社では○○用途の医療機器(クラス○想定)の開発を行っており、開発ステージとしてはコンセプト設定および実現可能性の検証段階にあります。
この段階で複数回にわたり外部委託先へモック品・試作品の作製を依頼しておりますが、

  • QMS省令およびISO 13485 に基づく品質マネジメントシステムの構築が未完了であること

  • JIS T 14971(ISO 14971)に基づくリスクマネジメントを十分に実施できていないこと

  • 委託先への要求事項がドラフトレベルのままであり、設計要求・変更履歴・試作結果の記録が社内で体系的に管理できていないこと

といった課題を抱えております。

一方で、薬機法に基づくQMS省令では、製造販売業者等に対して、品質管理監督システムの文書化および製造・試験等に係る記録の作成・保管が求められていると理解しております。

【ご相談したい点】

  1. 上記のように、開発初期段階であっても、外部委託先に試作を依頼する場合には、

    • 最低限どの程度のリスクマネジメント(例:ハザードの洗い出しと簡易なリスク評価)

    • どの程度の設計・試作記録の作成および社内保管
      が求められると考えるべきか、ご教示いただけますでしょうか。

  2. 現状のように「QMSが未構築である」ことを理由に、設計・試作・リスクに関する記録を外部委託先任せとし、社内に十分な記録を残さない運用を継続した場合、将来的なQMS適合性調査や承認申請審査において、不適切と判断されるおそれが高いと理解してよいでしょうか。

  3. スタートアップ企業が、開発初期からでも実施すべき最低限のQMS(文書管理・記録管理・リスクマネジメント)の構築ステップや、自治体・PMDA等で利用可能な支援・相談メニューがあれば、併せてご教示いただけますと幸いです。

    当社としては、安全性と将来の薬事申請の妥当性を確保する観点から、早期に適切なQMS体制と記録管理の仕組みを構築したいと考えております。
    そのための考え方や優先順位付けについて、アドバイスを頂戴できれば幸いです。

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ecompliance
1月 01, 2026
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1. 開発初期段階における最低限の要求事項

リスクマネジメントについて

開発初期段階(コンセプト設定・実現可能性検証)であっても、ISO 14971の基本的なアプローチに基づき、以下の実施を強く推奨いたします。

まず、意図する使用/意図する目的の文書化が必要です。どのような患者に、どのような臨床状況で、誰が使用するのかを明確にすることで、ハザード特定の基盤となります。

次に、予備的ハザード分析(PHA: Preliminary Hazard Analysis)として、網羅的である必要はありませんが、想定される主要なハザード(エネルギー源、生体適合性、使用エラー等)を洗い出し、重大なリスクについては初期評価を行っておくべきです。

さらに、試作品の用途・限界の明確化として、モック品・試作品が臨床使用を想定したものか、形状確認のみか、機能検証用か等の位置づけを明確にし、委託先にも伝達すべきです。

この段階では完全なリスクマネジメントファイルは不要ですが、上記の検討結果を文書として残すことが重要です。

設計・試作記録について

QMS省令第30条(設計開発)およびISO 13485:2016 第7.3項は、設計開発の各段階でのインプット、アウトプット、レビュー、検証、妥当性確認の記録を要求しています。開発初期段階であっても、以下は最低限記録として残すべきです。

  • 設計インプット記録: 試作品への要求事項(たとえドラフトであっても、その時点版として管理)
  • 変更履歴: 要求事項の変更理由と内容
  • 試作結果: 委託先からの納品物の評価結果、発見された課題
  • 設計レビュー議事録: 社内での検討内容(簡易なものでも可)

重要なのは、「設計履歴ファイル(DHF: Design History File)」の考え方に基づき、将来的に「なぜこの設計判断に至ったか」を遡及的に説明できる記録を残すことです。


2. 記録を委託先任せにした場合のリスク

ご理解のとおり、将来的に重大な問題となる可能性が極めて高いです。

QMS適合性調査(製造販売承認申請時)において、調査員は設計開発プロセスの妥当性を確認します。その際、開発初期段階の記録がない、または委託先のみに存在する場合、以下の指摘を受ける可能性があります。

第一に、設計管理の不備です。QMS省令第30条は製造販売業者等に設計開発の管理を求めており、委託先に記録があっても、御社として管理していなければ要求事項を満たしません。

第二に、購買管理の不備です。QMS省令第37条に基づき、委託先(購買物品の供給者)への要求事項の明確化と、その適合性確認の記録が必要です。「ドラフトレベルの要求事項」のまま発注し、結果の評価記録もないとなると、購買プロセスの管理不備と判断されます。

第三に、リスクマネジメントプロセスの不備です。承認申請において、リスクマネジメント報告書はSTED(承認申請資料)の必須項目です。開発初期からのリスク検討の証拠がないと、リスクマネジメントプロセス全体の信頼性に疑義が生じます。

特に、市販後に不具合が発生した場合、設計段階での検討記録が不十分だと、「予見可能であったリスクを見落とした」との指摘につながり、PL法上のリスクも高まります。


3. スタートアップ企業が実施すべき最低限のQMS構築ステップ

Phase 1: 基盤整備

文書管理の仕組みを構築することから始めてください。全社共有フォルダ等でも構いませんが、バージョン管理・アクセス記録が残る仕組みとし、文書番号体系、承認フローを決定します。

次に、記録管理ルールを策定します。記録の様式、保管場所、保管期間を定め、最低限、試作依頼書、試作結果報告書、設計レビュー議事録の様式を作成してください。

Phase 2: リスクマネジメント基盤

リスクマネジメント計画書を作成し、リスク受容基準を仮設定します。予備的ハザード分析を実施し、結果をリスクマネジメントファイルとして管理開始してください。

Phase 3: 設計管理プロセス

設計開発計画書を作成します。完璧でなくても、現在のフェーズと今後の計画を文書化することが重要です。設計インプット文書を整備し、これまでの要求事項を正式文書として発行します。設計レビューを定期的に実施し、議事録を残す運用を開始してください。

Phase 4: 購買・委託先管理(並行して実施)

委託先評価記録を作成し、選定理由を文書化します。購買仕様書(要求事項)を正式発行し、受入検査記録を整備して、納品物の確認結果を記録する仕組みを構築します。


利用可能な支援・相談メニュー

PMDAの相談制度

RS戦略相談(レギュラトリーサイエンス戦略相談) があり、開発初期から利用可能です。治験開始前の段階から、開発戦略、申請区分、試験計画等について相談できます。開発初期であっても、QMS構築の方向性確認に活用できる場合があります。

事前面談 は無料で、正式相談の前に論点整理ができます。

医療機器開発支援ネットワーク

AMEDが運営する支援体制があり、開発初期の企業向けに規制対応のアドバイスを提供しています。

各都道府県の支援

東京都であれば「東京都医工連携HUB機構」、各地の産業技術センター等でも医療機器開発支援を行っている場合があります。

業界団体

日本医療機器産業連合会(JFMDA)、医療機器産業研究所(MDSI)等がセミナー・情報提供を行っています。


優先順位の考え方

現状の課題を踏まえると、以下の優先順位を推奨いたします。

最優先(今すぐ着手)

過去の試作依頼・結果の記録を遡及的に整理してください。委託先に残っている情報を収集し、社内記録として整備します。完璧でなくても、「検討した証拠」を残すことが重要です。

高優先

文書・記録管理の基本ルールを策定し、設計インプット文書(要求仕様書)を正式版として発行します。予備的ハザード分析を実施してください。

中優先

QMS基本文書(品質マニュアル、主要手順書)のドラフト作成、リスクマネジメントファイルの正式運用開始、委託先管理の仕組み構築を行います。

推奨

PMDA相談の活用検討、内部監査の仕組み構築を進めてください。

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