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FDA向けMDR報告基準
FDAへの報告義務が生じるのは、以下の3つの状況です。
死亡
医療機器が患者の死亡原因となった場合、または死亡に関連している可能性がある場合。この場合、製造業者は事象を認識してから緊急時は5日以内、その他の場合は30日以内に報告する必要があります。
具体例:
- 人工呼吸器の動作不良により患者が死亡した場合
- 埋め込み型医療機器の不具合が患者の死亡に関与した可能性がある場合
重篤な傷害
医療機器が原因で、生命が危険にさらされる状態、または体の機能に永久的な障害が残る可能性がある場合。
具体例:
- インフュージョンポンプの過剰投与により緊急処置を要した場合
- 手術用器具の破損により追加手術が必要になった場合
- 植込み型医療機器の不具合により再手術が必要になった場合
重大な不具合
医療機器の重大な不具合が判明し、将来的に死亡または重篤な傷害につながる可能性がある場合。
具体例:
- 除細動器が正常に充電できない不具合が確認された場合
- 滅菌包装の完全性に欠陥が見つかった場合
- 放射線治療機器の照射量に誤差が生じる可能性が判明した場合
報告期限
以下の表に報告期限と状況をまとめます。
報告対象 | 報告期限 | 具体的な状況例 |
---|---|---|
死亡 | 5日以内(緊急)または30日以内 | 機器の直接的関与が明確な場合は5日以内 |
重篤な傷害 | 30日以内 | 入院や追加処置が必要な場合 |
重大な不具合 | 30日以内 | 安全リスクが判明した場合 |
EU報告基準
EUの規制では、「重大な事象(Serious Incident)」が報告対象となります。
重大な事象
以下の3つのケースが主な対象です。
死亡
医療機器が患者の死亡に直接的または間接的に関連している可能性がある場合。
具体例:
- 手術用ロボットの制御不良による患者の死亡
- 生体モニターの誤報により適切な治療が遅れたことでの死亡
重篤な健康状態の悪化
生命を脅かす状態や、体の機能に永久的な障害が残る可能性がある場合。
具体例:
- 人工関節の不具合による再手術の必要性
- 診断機器の誤診による不適切な治療実施
- 医療用ソフトウェアのエラーによる誤投薬
公衆衛生に対する重大な脅威
同一製品に多数の不具合が報告された場合や、品質上の問題が広範囲に影響を及ぼす場合。
具体例:
- 滅菌製品で無菌性が保証できない可能性が判明した場合
- 医療機器のソフトウェアに重大なバグが確認された場合
報告期限
以下の表に報告期限とトリガーをまとめます。
報告対象 | 報告期限 | 報告開始のトリガー |
---|---|---|
死亡 | 2日以内 | 製造業者が事象を認識した時点 |
重篤な健康状態の悪化 | 10日以内 | 因果関係が疑われた時点 |
公衆衛生に対する重大な脅威 | 2日以内 | リスクが特定された時点 |
苦情管理システムの構築について
苦情管理システムを構築する際、以下の重要な要素を考慮してください。
苦情情報の自動分類
苦情内容の自動分類と報告要否の判断を行う仕組みが必要です。
実装ポイント:
- 重大性評価アルゴリズムの構築
- 入力フォームの標準化
報告期限管理機能
報告期限を遵守するための機能が求められます。
実装ポイント:
- 期限管理ダッシュボード
- アラート機能