基本的な考え方
医療機器の設計・開発では、製品仕様に直接影響するかどうかに関わらず、適用されるすべての規制要求事項を設計インプットとして管理する必要があります。
これは、製品の安全性と有効性を確保するための基本的な考え方です。
一見、製品仕様と直接関係のない規制要求事項であっても、それらは製品の安全性や性能に間接的な影響を与える可能性があります。
例えば、製造環境に関する要求事項は、最終製品の品質に影響を及ぼす可能性があります。
実務的な管理方法
規制要求事項を設計インプットとして管理する際は、その重要度や影響度に応じて管理方法を適切に設定することができます。
例えば、製品の安全性に直接影響する技術要求事項については、より厳格な管理を行い、行政手続きに関する要求事項については、基本的な管理レベルとすることが可能です。
管理方法の設定には、以下のような観点を考慮します。
- 第一に、要求事項の性質による分類を行います。技術要求事項、製造工程要求事項、表示要求事項、品質システム要求事項などに分類することで、それぞれに適した管理方法を設定できます。
- 第二に、要求事項の重要度に応じた確認方法を設定します。重要な要求事項については、設計レビューでの詳細な確認や、厳密な検証方法を設定します。一方、間接的な影響しか持たない要求事項については、チェックリストによる確認など、より簡素化された方法を採用することができます。
トレーサビリティの確保
すべての規制要求事項を設計インプットとして管理することには、もう一つ重要な利点があります。
それは、要求事項から設計出力、さらには検証結果に至るまでの一貫したトレーサビリティを確保できることです。
このトレーサビリティは、製品開発の各段階で要求事項への適合性を確認する際に役立つだけでなく、規制当局による審査や監査においても重要な証拠となります。