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MDR完全施行直前!! 

MDR完全施行について

MDR(欧州医療機器規則)の完全施行が目前である。
COVID-19のパンデミックに関連し、当初は2020年5月26日であったMDRの適用日(DoA)が、2021年5月26日となった。
2021年5月26日には、MDDが無効となり、MDRが完全施行される。
欧州に医療機器を販売している医療機器各社ではMDR対応準備が出来ているだろうか。

製造業者(医療機器とは限らない)は2021年5月26日以降は下記の項目に留意してMDRを遵守しなければならない。

  • 認証書が有効な期間であっても、市販後調査(PMS)、市場監視、市販後監視(Vigilance)、事業者および機器の登録の要求事項についてはMDRに規定に従わなければならない。(Article 120 第3項)
  • 規制遵守責任者(PRRC)を設置すること。
  • はじめて第三者認証機関(NB)による認証の対象となる機器は、適用日にはMDRの適合条件を満たしていなければならない。例えば、無菌が条件となる医療機器、または測定機能を持つクラスIの医療機器などである。
  • クラスⅠ機器でNBの関与を必要としない機器は、完全にMDRを遵守すること。
  • 埋込機器またはClass Ⅲ機器は、UDIの規則を遵守すること。
  • 有効なQMSを持つこと。
  • 一部のClassⅡbおよびⅢの機器は、臨床評価報告書(Clinical Evaluation Report)の審査をNB以外の専門委員会(Expert Panel)等で実施される。
  • 医療機器を洗浄、殺菌、または消毒するための機器もMDRの対象となる。(MDR Article 2(1))
  • 再処理された単回使用医療機器もMDRの対象となる。(MDR Article 17)
  • 本来医療用でないが、医療機器と同じような機能を持つ一部の機器(カラーコンタクトレンズ、EMS機器など)もMDRの対象となる。(MDR Annex XVI)
  • 遠隔で行われる診断や治療に使用される医療機器のインターネット販売も含まれる。(MDR Article 6)

移行スケジュール

クラス分類ごとの移行スケジュールは、MDR Article 120「経過規定」(Transitional provisions)に定められている。MDD下でのCEマーキング済み機器については、機器毎にスケジュールが異なっているが、いずれも既に流通している機器については移行期間が設けられている。
ただし、適用日からはMDRのEU認証書を取得していなくても、要求事項によりMDRに基づいた監査が開始される。

MDDの認証書に基づいてCEマーキングを表示した医療機器が、すでに合法的に市場に出荷(Placing on the market)されている場合、最長2025年5月27日まで市場で入手可能(Making available on the market)または使用開始(Putting into service)することができる。
ただし、それ以降は、欧州医療機器指令(MDD)の認証書に基づいてCEマーキングを表示した医療機器は、流通も使用開始もできなくなる。
NBがMDDにもとづいて発行した認証書は、2024年5月27日には全て無効になる。
もし認証書記載の有効期限(発行後5年間)がそれ以前に終了する場合は、有効期限終了まで有効である。

MDD適合認証として2021年5月26日以降も機器を市場等に流通させる場合、当該機器はMDDに適合し続け(認証したNBのサーベイランスの実施を含む)、設計および意図した目的に重大な変更を行わない必要がある。
MDDの認証書に基づいてCEマーキングを表示した医療機器は、認証書の有効期間中(最長2024年5月26日)は機器の意図された使用と設計に重大な変更(Significant Change)がない場合のみ市場に出荷(Placing on the market)を続けることができる。

Class I機器

CLASS I機器については、要注意である。
CLASS Im、Is、Irについては経過規定が適用される。(MDR Article120)
Class I機器(計測または滅菌の機器を除く)で、2021年5月26日以降に初めて市場に出荷するCLASS I機器はMDRを遵守しなければならない。
NBによる認証が不要な(認証書がない)クラスI機器で、2021年5月26日より前に市場に出荷した(Placing on the market)機器は、2025年5月26日まで引き続き市場で入手可能(Making available on the market)または使用開始(Putting Into service)にしても良い。しかしながら、2021年5月26日以降は、市場に出荷してはならない。
MDDではNB非関与であるが、MDRからNB関与となるクラスIr(クラスIで再使用可能外科用器具)は、2021年5月26日より前にMDDへの適合宣言書が作成されていれば、機器に⼤きな変更がない限り、2024年5月26日まで市場に出荷(Placing on the market)または使用開始(Putting Into service)にしても良い。

Class I機器で、以下の5条件を満たす場合は、2024年5月26日までEU市場にPlace on the marketできる。
MDD(93/42/EEC)へ適合した機器。
MDR においてNBの関与が必要となる。
測定機能付き機器、滅菌機器以外のClassⅠ機器であって、2021年5月26日より前にMDD Annex Ⅻに基づいた適合宣言が実施されている。
2021年5月26日より後は、設計および意図した使用についての重大な変更(Significant Change)を実施しない。
市販後監視、市場監視、ビジランス、経済事業者(Economic operators)および機器の登録に関わる要求事項は、2021年5月26日から MDRの要求事項が適用される。

NBによるMDR認証が必要となるClass I(計測、滅菌、再使用可能な外科用器具・機器)、IIa、IIb、III機器は、NBによる審査が実施され、MDR認証書が発行される。

MDDおよびAIMDDによるEC認証書の有効期間

2017年5月25日より前に発⾏された認証書は、認証書に記載の期間まで有効である。ただし、遅くとも2022年5月27日には無効とする。
2017年5⽉25⽇以降に発⾏された認証書は、認証書に記載の期間まで有効であるが、5年を超えないこと。遅くとも2024年5⽉27⽇には無効とする。
機器に大きな変更(significant change)がなければ、2021年5月26日以降も認証書に基づき、市場への出荷(placed on the market)または使用開始(put into service)しても良い。

QMS

有効なQMSが必要であることに留意すること。
MDRは製造業者が有効なQMSがあることを示すことを求めている。
QMSの移行スケジュールは記載されていないが、認証書が切れた場合、有効とならない可能性がある。

規制遵守責任者

MDRは、国内外の製造業者に規制遵守責任者を置くことを要求している。
従来EU域内の製造業者は規制遵守責任者の登録をし、域外の製造業者はEU域内に法定代理人を置く必要があった。
MDRでは、欧州域外の製造業者も自国内で規制遵守責任者を指定し、登録しなければならない。
規制遵守責任者には学歴要件と経験要件が課せられる。

UDI

固有識別子(UDI)システムにより、トレーサビリティーや安全に関する市販後の活動の有効性が大幅に強化される。(MDR Article 27)
UDIの梱包への表示の強制化は以下の通りである。
・Class Ⅲおよび埋め込み医療機器は2021年5月26日
・Class ⅡaおよびClassⅡb医療機器は2023年5月26日
・ClassⅠ医療機器は2025年5月26日
それぞれの医療機器本体への表示の強制化は、梱包への表示の2年後である。

EUDAMEDが完全稼働するまでの代替プロセス

しかしながら、MDRは行政側の準備が整っていない面もある。
例えば、経済事業者の情報、UDI情報、安全性情報等を登録するためのデータベースであるEUDAMEDはまだ完全稼働しておらず、2022年5月の稼働となった。
そのため、MDCGは、MDCG 2021-1 「EUDAMEDが完全に機能するまでの、調和のとれた管理慣行と代替技術ソリューションに関するガイダンス」(Guidance on harmonised administrative practices and alternative technical solutions until EUDAMED is fully functional)を発出した。
本ガイダンスには、EUDAMEDが稼働するまでの代替プロセスが解説されている。

用語の意味

「市場に出荷する」(Placing on the market)とは、流通、消費、または使用などの目的で、有償または無償で、EU市場で機器を供給することを意味する。(MDR Article 2 定義27)
「市場で入手可能」(Making available on the market)とは、機器を初めてEU市場に出すことを意味する。(MDR Article2 定義28)
「使用を開始する」(Putting Into service)とは、EU市場において、初めて機器を本来の目的で使用するための準備が整い、エンドユーザーの手元に届いた段階を意味する。(MDR Article2 定義29)

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