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ワンポイント講座【第1回】 今さら人には聞けないPart11

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21 CFR Part11の正式タイトルは「Electronic records; electronic signatures」(電子記録・電子署名)である。
なぜか正式名称ではなく一般にPart11と呼ばれている。
Part11は1990年代初めに業界から電子署名に関する規則を明示するようFDAに要請したことに始まる。
それまでの製薬企業では、電子化が進んで来たにもかかわらず、(手書き)署名をしなければならないという理由のために、最終的にすべての記録を印刷しなければならなかった。
これでは不合理であるため、電子署名=すなわちペーパーレスに対する認識が高まった訳である。
この要請を受けてFDAは、連邦広報(FR:Federal Register)に規制立案の事前通告を行い、FDAとしての見解や概念を示し、業界との話し合いを繰り返した。
結果、1994年8月31日に21 CFR Part11 電子記録・電子署名ドラフトルール(規制案)を公示した。
パブリックコメントを募集したところ、業界から49のコメントが提出された。
それらはどれも内容が深く、容易に解決できない問題提起も多々あった。
FDAは、コメントに応えて適合するための負担を軽くしたファイナルルール「The final rule on electronic records, signatures, and submissions」を1997年3月20にFRに公示し、1997年8月20日から施行した。
Part11は、世界初のペーパーレスに関する規制要件であった。
実はFDAが業界と話し合いを繰り返す中で、当初は電子署名(Electronic Signature)が中心であろうと考えていたが、電子記録(Electronic Record)が重要であることに気がついたのである。

紙に印刷すればPart11の適用を免れる!?

筆者はコンサルテーションを実施している中において少なからず「Part11違反が怖いから紙媒体に印刷し、手書き署名をしたものを”正”としている」と方針を立てている企業を見かける。(すなわちすべての記録を紙に印刷し、手書き署名(押印)している。)
しかしである。そんな姑息な手段でPart11の適用を免れることはできない。
Part11は、最終形が紙であっても、当該記録の作成途上において電子記録・電子署名を使用した時点から適用されるからである。
これは本邦におけるER/ES指針でも同様である。

FDA査察で見せるシステムはPart11対応が必要!?

業界では有名な某コンサルタントが「FDA査察で査察官に見せるシステムはすべてPart11対応が必要!!」と言っていたそうだ。
例えば、SOPを管理しているドキュメント管理システムやクラウドシステム(BOXなど)等のことであろう。
しかし、そのコンサルタントは一度もFDA査察に立ち会ったことがないと思われる。
筆者は20年以上もFDA査察に立ち会ってきたが、ドキュメント管理システムのCSVやPart11対応をFDA査察官から問われたことは一切ない。
なぜならば、それらのPart11対応は患者の安全性や製品の品質に全く影響がないためである。
米国は公平を重んじる国柄であるため、もし1社に対してドキュメント管理システムのPart11対応を命じたとすれば、世界中の企業に同様の指導をしなければならなくなる。
考えてみて頂きたい。患者の安全性や製品の品質にほとんど影響がないにもかかわらず、いたずらにコンプライアンスコストのみを負担させる指導を行ったとしたらどうなるだろうか。
結果的にコストは薬価に転嫁され、患者負担となってしまうのである。
FDA査察はコンピュータシステムを調査しに来ている訳ではない。そのような恐怖心だけを煽るコンサルタントの独善的な話を真に受けてはならない。

そもそもPart11査察なんて言うものはない!!

FDAはGxP査察を実施するのであって、Part11査察を実施する訳ではない。そもそもPart11査察なんてものはない。FDAにPart11チェックリストもなければ、Part11査察ガイドも存在しないのである。
ただし現状では、ヒト用の医薬品に限って品質試験(QC)および出荷承認プロセスのみPart11に基づいたデータインテグリティ査察が実施されている。なぜならばそれらは患者の安全性に大きく影響するためである。

少なくとも医療機器企業においてPart11査察はあり得ない。また製薬企業においても、上記以外ではほとんどPart11を心配する必要はないだろう。
ただし、よく理解して欲しいことがある。
Part11は電子記録に関する規制要件である。いまだに有効だ。
しかしながら、電子記録の信頼性のみではなく、紙の記録の信頼性も重要である。
従って、現在ではPart11ではなくデータインテグリティ査察が実施されている。
電子の記録の改ざんと、紙の記録の改ざんでは、いずれも患者に対する影響は同じであるためである。
すなわちPart11はもう古い。IT系の企業出身のコンサルタントは電子記録に固執しているが、紙の記録を含めてデータインテグリティについて十分に検討するべきである。
製薬各社のデータインテグリティ対応の発表を聞いていると、電子記録のセキュリティにばかり配慮している。それでは不十分である。
紙媒体の記録を含め、悪意のないヒューマンエラーからも記録の改ざんを防がねばならないのである。

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